�将将将将将将将将将将将将� ページ26
、
車は、スピードを上げたまま逃げ去って行った。
まるで、何事も無かったかのように。
「ふざけんなよ！離せ！芹っ！！」
結末は、“何一つ起こらなかった”。
目の前で轢かれたはずの武藤芹の姿はなく、横断歩道の手前でお兄ちゃんは大我くんを拘束した。
赤が舞うこともなく、悲鳴もない。
目の前に居る人間の名を呼びながら辺りを捜し回る大我くんを、周囲は困惑して眺めていた。
「大我、芹は居ない。元々居ないんだ」
「居ただろ！ここに！それで！…それで…」
車に轢かれた。
大我くんの言いたい事、口にしたくない事を察したお兄ちゃんの掌が項垂れた頭を優しくなぞった。
繰り返されるそれに大我くんは言葉を失ったまま、ただ一粒雫を落とす。
次第にそれは増えていって、真下以外も濡らし始めた。
「通り雨か…？風邪ひくし、戻るぞ」
「……芹の居ない世界なら、もういい…」
「大我」
「うるさい！邪魔するな！」
「大我！」
「“お前”は“迷う”事ないんだろ！？ここの芹は！？どこに隠したんだよ！いつかみたいに俺が気づかない場所に連れてったんだろ！？」
お兄ちゃんに掴みかかり捲し立てるその姿と台詞に、この大我くんはこの世界の大我くんじゃない。
そう察したら目の前の大我くんの頬をひっぱたいていた。
突然の出来事に真っ白になったんだろう。
呆然とした後、ゆっくりとこちらに視線が向いた。
それは、いつか見た暗い瞳だった。
「いい加減にして！自分が何してるか分かってんの！？」
ーおい、芹ー
「お兄ちゃんは黙ってて！いくら自分だからって本当の自分の体じゃないのに勝手に危険なことしてそれを止められて私が居ないから何！？もういいって何！？人間生まれるのも死ぬのも１人でしょ！？いつまでも私に“依存”して“他人(ﾋﾄ)”に迷惑かけてないで戻りなさいよ！」
「……え…？」
「だいたい！何でこんなこと起きてんの！？何で繰り返してんの！？助けて欲しいなんて言ってない！私が望んだのはもう少し大我くんの活躍見たかったのと友達と話したかっただけ！たったそれだけ！！大我くんについて来て欲しいなんていっ……っっち�个盪廚辰討覆い�ら！！分かる！？貴方がやってることは自己満足なの！現実逃避なの！誰も望んでいないことなんですけど！！？」
この際、“依存”していた私が喜んでいた事なんて無視だ無視！
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佐藤龍我のぶりぶりざ○もん
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作者名：Fin. | 作成日時：2019年5月24日 16時
