私がこの世でいちばんです (ページ8)

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キラキラと輝くストーンを散りばめた、真っ赤なミニドレス。至る所に何重も重なるアクセサリーに、完璧なメイク。
椿姫をイメージした衣装だ。

名前入りの赤いマイク。

デビューしたくても出来なかった人達がどれだけ居ただろうか。
私のこの肩には、その人達を蹴落として這い上がってきた責任が乗っている。
このステージを成功させる義務があるのだ。

舞台裏に近づくにつれて聞こえてくる2万5000人の声。
ふと、自分の手が震えている事に気づいた。

あぁ、これは武者震いだ。

マカ「CELI。思いっきり楽しんで来なさい。あんたは私が見てきた中で一番最高の女なんだから。」

ニヤリ。
マカロンを見返してニヤリと笑う。
『全員の心臓、もらってくるわ』

そう言うと舞台上へと向かった。

ーside BBー

会場の照明が落ちる。
大画面の液晶に映るのは、玉座に置かれた金色のリンゴ。
少しずつリンゴに、まるで卵の様にヒビが入っていく。

パキンッ！！

中から産まれたのは、王冠を被った1人の美女。

同時に、スモークの向こうから映像に出ている玉座が舞台上に登場した。まるで何処かの国の女王の様に、脚を組んで座るCELI。

「きゃぁぁあ！！！！」
会場から黄色い声が上がる。

同時にアップテンポでロック調な音楽が流れだして。

CEL「let's show time～～！！！」

ビリビリと身体の底まで震わせる声。

"私がみんなの噂の的、CELI
私を見たらもう目を離せない"

まるで、会場全てを支配しようとしている様な、太くて耳に残る圧倒的な歌声。

小馬鹿にした様に口の端を上げて髪をかきあげる。
その計算しつくされた仕草に、観客から再び歓声が上がった。

MN「、、鳥肌たったの、久々だわ」
いつの間にか、隣で関係者席から身を乗り出して見ているミノヒョン。

昔からそうだった。
彼女は性別も年齢も国籍も、関係なく魅力する。

"みんな狂ったように踊りだす身体を支配する熱に身を任せて私の声を聴いたらもう止まらない"

歌詞に合わせて激しく踊り出すCELI。
それは、まさに狂気。

ゾクリと心臓が震えた。

妖艶で狂気をはらんだその動きと、髪をかきあげた時に見える鋭い視線に目が離せなくなる。

曲が終わった瞬間、数秒、誰しもが息する事を忘れたみたいに、固まっていて。

ハッとした様に拍手が生まれた。
何人か涙を流している子も居る。

新人のくせにとんでもない事やってくれたな。

ドクドクと聞こえる自分の心臓の音に、苦笑いした。