私がこの世でいちばんです (ページ25)

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ーside J-HOPEー

最初、彼女がメディアに出てきた時。
その隙の無いダンスに釘付けになった。

170の高身長に、特徴的なハスキーボイス。
計算されたように整った中性的な顔立ちに、リップを塗っていなくても桃色のふっくらとした唇。

サバサバとした性格は、ヨジャペンが多いのも納得の男らしさだ。

最初、楽屋で会った時。
見た目だけじゃなくて、その場を支配する様な圧倒的なオーラ。
笑った時の異様な色気。

だからある意味、雲の上の存在みたいな認識だったんだ。

なのに。

家に居る時の彼女はまた別人の様だ。
もちろん、美しさとか芸能人独特のキラキラした感じとか。そういうのはあるんだけど。

ステージ上での攻撃的なキャラクターとは違うし、普通にスウェットを着てるし、ダラダラと気が抜けた様な雰囲気。

驚いたのはそれだけでは無い。

今もCELIと2人で作業室にこもっているユンギヒョン。
ヒョンは元々、物事に対して関心を抱かないタイプだ。対人関係はむしろ苦手としているし、特に女性に対しては嫌悪感を抱いている方。

だから、そんなヒョンが2日目にして心を開いていることに本気で驚いた。

SG「なぁ、鍵盤弾かないで音って想像できるか？」

夜、突然質問されて。

『いや、出来るわけないでしょ。』

SG「だよな。。アイツ、頭の中で曲構築してから譜面起こしてるんだよ。」

意味が分からなかった。
そんな事できる人なんて見た事ない。

SG「アイツそれを時短技だとか言ってる」

ふと、"天才"
その言葉が頭をよぎった。

ユンギヒョンは、普通だったら2週間かかるであろう曲を一日足らずでほとんど完成させた事。
作曲に対する独特なセンスについても話してきた。

ハッキリ言って、彼女がその異常さを自覚していない事にゾッとした。
自らのことを"天才"と彼女は言っているが、本当の意味で気づいていない。

なんと、彼女はユンギに却下されたらその曲をあっさりと捨てる予定だったという。
SG「久々に焦った。あれは世に出すべき曲だから。」

こう話している間も、彼女は呑気にソファーに寝転んでアイスをかじっている。

、、、もしかしたら俺達は、とんでもない子と関わってしまったのかもしれない。