色戀、召しませ。 (ページ37)

今日:17 hit、昨日:14 hit、合計:1,706,348 hit

3 ページ37

・

なんで？と戸惑った拍子に顔に携帯が落ちてきた。

「ったー………」

角が鼻骨に鋭角に入ったことに悶えながら私は電話に出た。

「…………もしもし」

“もしもし？今仕事中？”

「いえ…………って言うか何で………」

“何で？”

「何で電話…………」

もう用済み的なこと、こないだ言ったじゃん。

“え？LINEだと無視されたら終わりだから”

そういう意味で聞いたんじゃないと思いつつ

その声を聞いた瞬間、

あぁもうダメだと思った。

二度経ち切った彼への想い。

三度目はないと思った。

私は、やっぱりこの人が好きなんだ。

「あ、えっと、今日休みなんです」

“そうなんだ？家？”

「はい」

“出てこれる？”

「いつ？」

“今”

「え゛！？」

私は慌てて鏡を見た。

だ、誰だ、このくたびれた女！

「さん………一時間後とかでも大丈夫ですな！？」

か、噛んだ。噛んじゃった。

“武士？”

隆二さんが電話の向こうで笑ってる。

“じゃーあ、一時間後に…………どうしようかな、この時間にCD屋はやばいから………決めたら連絡するわ”

「は、はい」

“じゃあね”

「はいっ」

電話を切って、バスルームに行こうと立ち上がって派手に転けた。

脚に力が入らなかった。

ヨロヨロしながらシャワーを浴びて久しぶりに自分に手間をかけた。