色戀、召しませ。 (ページ31)

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みんなが隆二さんを“不器用”と言う。

こんなLINEを送れる人が不器用なわけがない。

そう思いながら彼の指定した場所まで急いで向かった。

待ち合わせは、あのCD屋さん。

徒歩10分の距離をタクシーで行こうかと考えたくらい、早く会いたかった。

てっきりお店の中で待っているのかと思ったけど隆二さんは、外で腕を組んで待っていた。

「こ、こんばんは」

「そっち、歩きながら話そ」

隆二さんが指差したのは、すぐ近くの通り。

そこは昼間は買い物客で賑わう商店街、でも夜はシャッターが並ぶ静かな通り。

人通りもまばらで、この道選んだ理由が何となく分かった。

でも、どういう距離感で歩いて良いか分からなくて私は隆二さんの少し後ろに。

「あのさ…………って話しにくくない？」

「良くないかなって………隣、歩くの」

「手さえ繋がなきゃ大丈夫だよ」

そう言って私の背中をちょんっと押した。

少し離れて隣を歩きながら、私の心臓は別の意味で鷲掴みにされている。

「聞きたいことあったんだよ」

「はい……」

「最初にライブで会ったじゃん？そん時、ずっと目瞑っててー。何でだろと思って気になって誘ったんだよクラブ」

「はい」

「クラブでも目瞑ってたでしょ？あれ、何で？」

「あれは…………」

「それ聞こうと思ってただけなのに、ずっと無視すんだもん」

隆二さんは笑いながら通りに置いてあるベンチに座って、自分の隣をポンッと叩いた。

私はゆっくりと、そこに腰をおろす。