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五頁 ページ6

明日が来る事が辛かったから、
だから私は眠れなかった。


怖くて、不安で、恐ろしくて
布団を頭まで被って体を丸め、身を抱える様にしてみても

私はやはり“独り”で、
“冷た”くて、
“悲し”かった。



だから彼が不安そうな顔で一緒に寝てほしいと言った時、
少し安心したんだと思う。

《私と同じなんだ》と









夜が明けるのは、寝てしまえば案外早くて
日が高く登っている事から、寝すぎてしまった事を理解した。

隣で寝ている歌仙さんを起こそうと羽毛布団を持ち上げると
そこに彼の姿はなく、布団は温もりを無くしていた。


私は慌てて部屋を出て家中を探し回ったが、何処にも見当たらない。

縁側から降りて辺りを駆け回るが矢張り彼を見つける事は出来なかった。





また私は見捨てられたのだろうか。
現世の様に、また此処でも



安心してたんだ
同じみたいだからって油断してた。
同じな筈ないのに

相手は付喪神だ、神様だ。
罰を与えられる側の人間と同じな筈ない
馬鹿か私は


……また、独りだ。
早く死にたいのに、終わらせたいのに
ずっと独りぼっちなこの人生を



私の息は既に切れていて、もう足もふらついてきていたそんな時に
ふわりと風が吹き、辺りの花びらが舞った。

ふと下にあった視線を上げると、ガタイの良い男性が花に囲まれて座っていた。


その髪は足元に咲く花より鮮やかで、振り返る彼の瞳は澄んだ湖の色をしていた。





「…………………」


「?
どうしたんだい、そんなに肩を上下させて。
走って来たのかい?
それよりもほら、ご覧よ
こんなに草木が「歌仙さん」……」


「何で、何も言わずに出ていったんですか
私が寝てたからと言うのなら、置き手紙くらいかけましたよねッ⁉

……………すみません、声を荒らげてしまって……」


「………いや、僕も悪かったよ
確かに箸は使えずとも文字は書けるからね。
すまなかった」





完全に今のは八つ当たりだった。

また独りになる事が怖くて必死に探していたのに、彼は楽しく散歩していたその事に
無性に腹が立って気付けば怒鳴っていた。


怒鳴って発散させたかった訳じゃないのに
そうしてしまった事が何故か悲しくて、
自分を制御出来なかった事が惨めで、
矢張り彼と私は同じなんかじゃない。

ほら、今だってそんな私に気遣って
「帰ろうか」
なんて声をかけてくれる。

私は貴方と違って優しくも気遣いも出来ないから、ただ小さく
「はい…」
とだけしか返せなかった。

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設定タグ:とうらぶ , 刀剣乱舞 , 歌仙兼定   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:赤羽美亜 | 作成日時:2018年11月4日 21時

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