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四頁 ページ5

横目で歌仙さんを見ると、彼は美味しそうな匂いがするね
なんて言って食器用洗剤(グレープフルーツの香り)を見つめている。



………無理ではないだろう。
無理ではないだろうが、万一を考えると最初は隣で指導した方が良さそうだ。

もしボディソープ(桃の香り)が美味しそうな匂いだからと言って、飲んでしまっては困る。


私は小袖から襷を取り出し腕を捲った。





「歌仙さんには、これから湯浴みを行ってもらいます。」


「………刀が湯に入っては錆びてしまうよ?」


「うどんを食べた口で何を言うんですか。
今日は沢山歩く練習をして汗をかいたので、お風呂に入らないと臭くなりますよ」





彼は臭くなるという言葉に反応し、渋々風呂場へと向かった。


後ろを向いているから服を脱ぐようにと言うと、カチャリと背後から抜刀する音が聴こえた。

慌てて振り向くと彼は服が脱げなかったようで、それに苛立ち刀を抜いたそうだ。





「脱ぎ方なんて知らないよ!
僕はここに来た時にはもう服を着ていたんだ!
大体僕は刀だよ⁉
人の着る物なんて知らないよ…!」


「はいはい……
あーっもう!
動かないで下さいよ!!」


「だっ、だって君がくすぐったくするから…!」


「なら次からは自分で脱げるよう、しっかり覚える事ですね!
ほらパンツくらいは脱げるでしょう⁉」





腰に布を巻かせ、私は袴をたくし上げた。

はしたないなんて真っ赤な顔を覆う歌仙さんに、自分の姿を見ろと一言言い風呂場の戸を引いた。









なんとか湯浴みを済ませ、彼に寝巻きを着せ、
椅子に座らせた。


今度は何をするんだい?と眠そうな目を擦りながら歌仙さんは鏡ごしに聞いてくるので、
タオルドライと言って、髪を乾かす為の第1段階です、と答えた。





「髪は、ちゃんと手入れしないと傷んで見た目と触り心地が悪くなります。」


「それは、嫌だねぇ………」





彼は髪を乾かしている最中、うとうととしては
ビクッと体を揺らし、またうとうとするのを繰り返していた。





「もうすぐ終わるので、寝ないで下さいね?」


「………寝、る…?」


「えぇっと、
目を閉じて意識を手放す事、ですかね」


「………………。
それは死ぬ事と何が違うんだい」


「え」


「死人も大抵は目を閉じ、意識も無いだろう
何が違うって言うんだい」


「………………明日が来ます。
死ねば、明日は来ません」





だから私は死ぬ事を選んだ。

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設定タグ:とうらぶ , 刀剣乱舞 , 歌仙兼定   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:赤羽美亜 | 作成日時:2018年11月4日 21時

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