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暗くて、冷たい
それ以外の事は何も分からない。
死んだらそこで全てが終わると思っていたけど、そうではなかったのか。
それとも、私はまだ死んでいないのか。
そう考えていると、視界がだんだんと明るくなっていき、
体がじんわりと熱を取り戻していった。
自分が目を閉じていた事に気づき、目をゆっくりと開けると
そこには沢山の人達が集まっていた。
しかし妙な事に、全ての人が和服を着用していて、私もその1人となっていた。
周りを見回すと、
どうやら私たちは赤と白の聳え立つ和風の塀に囲まれ、出られなくなっている様だった。
一体、何がどうなっているのだろうか。
そんな事を思っていると、何処からか声が聞こえてきた。
「天から授かった生を棄てた人の子らよ
生きるという事に価値を見出せなかった愚かな子よ」
男性なのか女性なのか、
子供なのか大人なのか
それすらわからない声は、そう私達に告げた。
“生を棄てた”
という事は、ここに居る人達は皆んな
私と同じという事だろう。
そして、この声の持ち主はきっと神様というものなのだろう。
理由は分からないが、私の心が、脳が、いつの間にかそう処理していた。
神様は私達にこう告げた。
罪を償えと。
これは罰であり償いなのだと。
この目で本当に棄てるべきものだったのか確かめよと。
そう神様は告げた。
そして瞬きをした本の一瞬の間に、
周りの景色は一変していた。
草木が鬱蒼と茂り、花の香りが漂ってくる。
「ここは……」
「ここは刀剣男士を育てるためだけに作られた異空間です」
「!」
「はじめまして
私は【こんのすけ】と申します。
案内人を務めさせて頂きますので、以後お見知り置きを!」
いつの間にか隣に座っていた狐は
私にそう伝えると、
まるで付いて来いとでもいうかの様に
私の前を歩きはじめた。
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作者名:赤羽美亜 | 作成日時:2018年11月4日 21時