目隠し ページ9
·
『……悠仁を、祓う？』
……意味が分からなかった。
さっきから現実にありえないような物が見えるし、変な奴には襲われるし、今日は本当に厄日だ。
だとしても、祓うとは。それはつまり、悠仁を“消す”ということと合致するのだろうか。
「いや、なんともねえって！それより、俺も伏黒もボロボロじゃん。何より姉ちゃんのことも心配だし、早く病院行こーぜ」
悠仁の言葉に戸惑いを隠せないのか、黒髪の青年は手を構えたまま悩ましそうに眉をひそめる。
そのうちにも、悠仁の体に現れていた黒い模様は消えていって、先程の邪悪な面影すら無くなっていった。
私は未だに体が思うように動かせないし、目の前で考えを巡らせているとだろう青年を止めるすべもない。
……どうしたら良い。このままでは、またじいちゃんと同じように悠仁も居なくなってしまう。
それだけは絶対に嫌だ。もう大切な人を失うなんて、私には耐えられないよ。
「＿＿＿＿＿今、どういう状況？」
何をする術も無いまま歯痒さを飲み込んでいると、不意にどこからか聞き馴染みの無い男の声が聞こえてきた。
驚き顔を上げれば、私の隣には目隠しを着けた白髪の男性が紙袋を手に提げ佇んでいた。
さっきまでは居なかったはずのこの男は、一体どこから現れたのか。
……瞬間移動？だったら益々ワケが分からない。
「ッ……な、五条先生！？どうしてここにッ」
「やあ。来る気無かったんだけどさ……いやあ、ボロボロだねえ。2年の皆に見せよーっと」
そう言うと、目隠しの男性はポケットからスマホを取り出し、私を庇うようにして立っていたボロボロの青年に向けカメラのシャッターを切りまくる。
……不思議というか、変わっているというか。
とは言え、お世辞にも「大人」とは言えない彼の態度は今までの張り詰めた空気を緩めるのにはちょうど良く、少しだけ楽な気持ちになった気がした。
すると、眺めていたのがバレてしまったのか不意にカメラを止めた男性が、目隠しのまま私の方をじっと見つめてくる。
「あれー、もしかして君一般人？」
『あ、いや……ええと、』
「ん？……まあ、いっか」
何かを疑問に思ったような素振りを見せながらも、男性は暫くして私の顔からふいっと目線を逸らした。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いか焼き - 好きです！！！ 最高すぎます、、、応援してます！今から2を読んできます！楽しみすぎる…！ (2022年7月4日 2時) (
レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです！！応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです！知らせていただき助かりました！ (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます！ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします！間違えてたら申し訳ないです！ (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀛 | 作成日時：2022年1月22日 17時
