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所有物 ページ32

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木々を揺らす風の音が聞こえるくらい静かな部屋で、私はベッドに腰掛けながらぼんやりと窓の外を眺める。






『……なんで私に、あんたの声が聞こえるの』






誰も居ない空間に、呟くように言った。

この状況を誰かが見ていたならば、きっと私を変人扱いするだろう。

空気に話しかける人なんて、私だって怖いと思う。


でも聞こえてくるのだ。それもはっきりと、かなり鮮明に脳内に語りかけてくる。






《今や俺とオマエの呪力は等しい。それを介せば、オマエの意識を乗っ取るなど容易いことだ》


『何よそれ、悠仁の体は乗っ取れないのに』


《小僧とオマエではそもそも置かれている状況が違う。アレはいずれ俺の肉体となり、オマエは未来永劫俺のモノとなる》






不敵な声が、私の頭の中に響き渡る。


……私の体を支配する宿儺の呪力。これを分け与えられ、それに適応してしまった時点で私の体はもう私だけの物ではなくなった。


要するに、私はコイツの一部となってしまったわけだ。






『この際だから聞くけど、あんたは私に何を求めて呪力を分け与えたの?それなりの理由くらいあるんでしょう』


《理由か……仮にあったとして、俺がオマエに言うと思うか?》






疑問に疑問で返され、私は素直に眉をひそめる。


……ああ言えばこう言う。触れずともねじ伏せられるようで、これまた腹立たしい。


そもそも、コイツとまともな会話をしようと思った私が間違いだったのかもしれない。きっとそうだ。






『……分かったわよ。ならもう、何も聞かない』






私は拗ねたように言いながら、背中をベッドの上に倒す。


マットレスに寝転んだ私は、その柔らかさに体を預けるようにゆっくりと体を脱力させた。







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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年1月22日 17時

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