生け贄 ページ18
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「てことで、次は君についてのことね」
悠仁に関する話が一通り終わると、五条先生は再び改まったように目隠しのままこちらを見据える。
相も変わらず彼の瞳は見えないままで、その表情の読み取れなさに私の体が少し強ばっているのが分かった。
「まあ、ざっくり言うと……今の君、半分“宿儺”なんだよね」
『…………は?』
先生の口から飛び出した答えに、私はあんぐりする。
「半分宿儺」とは。それじゃあ悠仁と状況はなんら変わらないではないか。
いやでも、私はあいつみたく呪物なんか飲み込んでいない。
『えっと……それってつまり、私も死刑対象なんじゃ』
「いいや。君はどちらかというと、死刑というよりある種の生け贄に近い」
……生け贄。その言葉は私の思考を余計にこんがらがせていく。
五条先生の言い分はこうだ。
私の体には今、宿儺の呪力が流れている。それも、元々あった私の呪力すら侵食しながら肥大しているのだと言う。
一般人にも微量ながら呪力というものはあるらしく、人は生まれてから自分に備わった呪力の受け皿の大きさが決まっているらしい。
しかし、そんな私の受け皿は元々備わっていた呪力よりも遥かにを大きいものだったらしく……簡単に言えばそう、許容範囲が限りなく大きかったのだ。
「僕が思うに、宿儺は君のちょっとおかしな体質を見抜いていたんだろうね」
その後はたぶん、好奇心。
五条先生はどこかいたずら気に口元を緩ませると、私の顔から目線を逸らした。
……好奇心。つまり私は、アイツの良い
「宿儺の膨大な呪いの力を分け与えられた君の存在は、言わば悠仁に対する起爆剤みたいなものかな。もちろん、君が死ねばその力は宿儺の元に戻るだろうけど」
______私が死ねば、この力はアイツに戻る。
けれど私が生きている間は、少なくとも力は私の中にとどまり続ける。
つまり死のうが生きようが、「両面宿儺」との関係は永遠に断ち切ることはないということ。
全ては呪いの意のままに……五条先生はそんな私の立場をひっくるめて、生け贄と言ったのだろう。
「とは言え、それでもまだ分からないことが多い。だからこそ、上も君を手放しに殺すことができないのさ」
乾いたような先生の声は、どこか皮肉じみた色を孕んでいた。
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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月22日 17時