親子か犬か ページ29
冷蔵庫の中をチェックして、オレに背を向けたままで聞いてくるキミの声。
「どうする?
食べてる時間は、ない感じ?
友達と食べる?」
当たり前じゃない展開なのに、日常みたいなトーン。
知り合いというほど知らないし、ましてや友達なんて程遠い。
そして、今度は、冷凍庫をチェックして、唇に指先で触れながら、何かを考えるキミ。
ねぇ、オレのこと、受け入れてる?
こんな真夜中の出会いも、あり?
声に出さずに、その背中に問いかける。
大丈夫。
上手く距離はとっておくから。
オレは、『ニカ』でいるから。
キミは、キミのままでいい。
電話越しに感じた、ミツと彼女の関係に、少しだけ触発されて、それでも、もう、恋なんてしたくはないから、この不思議で居心地のいい関係を、もう少し、続けてみたいなって思ったんだ。
振り向いたキミと目が合えば、
「食べるの?食べないの?」
まるで、母親に急かされるみたいに言うから、
「食べるっ!」
子供みたいに答えた。
「何作ってくれるの?」
立ち上がってカウンター越しにキッチンを覗き込むと、冷凍庫のドアを閉めたキミが立ち上がって、少し複雑な表情で指差して言った。
「おすわりっ!」
……いや、まて、違うだろ。
恋愛とは違う関係って、そういうんじゃねぇし!
「犬じゃねーしっ!」
言い返してから、膨れ面で座り直す。
「お利口さん。」
「だーかーらーっ!」
オレのどんな抗議も、膨れ面も、キミにはちっとも効果が無いみたいで、まるでペットを叱ったり褒めたりするみたいに楽しんでる気すらする。
でも、やっぱり、キミとの会話は、リズミカルに繋がって、心の奥がワクワクしてくる。
「焼おにぎりしよっか。ゴマ味噌風味。
友達来るまで、10分くらい時間ある?」
「あるっ!
なんなら、待たせとくっ!」
どうせミツだって、彼女とイチャイチャしてるだろうし、オレにだって楽しむ権利はあるはずだ。
何より、なくしたと思った鍵は、ポケットの中にあるんだから。
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植尾あい(プロフ) - ノンさん» はじめまして。キミ声、何度も読んでもらえたなんて嬉しいです。ニカ中毒だなんて!光栄です!私の言葉、気に入ってもらえましたか?よかった!これからも、のんびりですがキミ恋もよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月25日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 初めてコメントさせてもらいます。キミ声にハマって、何度も読ませてもらって、何度も涙して、ニカ中毒になりました。(笑)ニカsideも楽しみに読ませてもらっています。楽しみがまた増えました。ありがとうございます。あいさんの言葉の表現、大好きです。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: d6afd85c10 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» 実は、見つけてたんです(ノ∀`*)ンフフ♪ なんか、こういううっかりしてそうじゃない?(笑)まだまだ、距離を置いて慎重なニカが、この距離をどうしていくのか、楽しみにしていて下さい!バンザイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - きななさん» バンザーイ!二階堂くんにバンザーイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - カギ見つけてたんだ!探したはずのポッケに入ってたとか本当にやってそうだなー(笑)ってニヤニヤしちゃった(°▽°)いつから「ニカ」が「高嗣」として接して行くのかとか、楽しみで仕方ないっ!ばんざーーーーい!! (2017年3月27日 10時) (レス) id: 6cd6e0891b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年12月25日 22時