バンザイ ページ28
「どうぞ。」
カウンターの向こうから、ほうじ茶が入ったマグカップが差し出され、キミの指先が取っ手をクルリとオレに向ける。
小さな心配りと、爪先の白い花が優しさをくれる。
「ありがとう。」
受け取ったマグカップは、冷えた指先を温めて、香ばしい匂いは、心をほっとさせる。
一口飲んだほうじ茶は、ゆっくりと体を温めていく。
「お友達は、後どれくらいで着きそう?」
カウンターの向こうで、同じようにマグカップのほうじ茶を飲みながら、キミが言った。
「んー、まだ、もうちょっとかかりそう。
朝になっちゃったらやだな…。」
まさかとは思うけど、ミツが彼女を送りに行って、そのまま『送りオオカミ』ってやつになってたら……、って、無くはない可能性。
そんな、裏事情を知らないキミは、少しだけ間をあけて、「そっか…。」って、言った。
まぁ、追い出されないようにしてれば、路頭に迷うことは無いから、もうしばらくは、『ニカ』でいよう。
そう思って、アイドルスイッチ入れようとした時だった。
――― ぐうぅぅぅ
自分でも引くほどの腹の音。
「…… 聞こえた?」
「…… 聞こえたよ。フフッ」
やっぱり、心地いいテンポで返事が返ってくるし、なんなら、鼻で笑うキミの声がオレ好みだなんて思ったし。
呆れ顔の笑顔で、オレのことを見て
「……… もうっ。なんか食べる?」
って、言う、キミが、お隣さんで良かったなって思った。
降りる階を間違えたオレ、バンザイ!
見つからなかったポケットのカギ、バンザイ!
すぐに来てくれなかったミツ、バンザイ!
真夜中にオレを拾ってくれたキミ、バンザイ!
全部が上手く噛み合った夜に、バンザイ!
.
850人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
植尾あい(プロフ) - ノンさん» はじめまして。キミ声、何度も読んでもらえたなんて嬉しいです。ニカ中毒だなんて!光栄です!私の言葉、気に入ってもらえましたか?よかった!これからも、のんびりですがキミ恋もよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月25日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 初めてコメントさせてもらいます。キミ声にハマって、何度も読ませてもらって、何度も涙して、ニカ中毒になりました。(笑)ニカsideも楽しみに読ませてもらっています。楽しみがまた増えました。ありがとうございます。あいさんの言葉の表現、大好きです。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: d6afd85c10 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» 実は、見つけてたんです(ノ∀`*)ンフフ♪ なんか、こういううっかりしてそうじゃない?(笑)まだまだ、距離を置いて慎重なニカが、この距離をどうしていくのか、楽しみにしていて下さい!バンザイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - きななさん» バンザーイ!二階堂くんにバンザーイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - カギ見つけてたんだ!探したはずのポッケに入ってたとか本当にやってそうだなー(笑)ってニヤニヤしちゃった(°▽°)いつから「ニカ」が「高嗣」として接して行くのかとか、楽しみで仕方ないっ!ばんざーーーーい!! (2017年3月27日 10時) (レス) id: 6cd6e0891b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:植尾あい | 作成日時:2016年12月25日 22時