ギャップ ページ19
「………… ぶえっくしっ!」
豪快なクシャミに身震いして、ジャケットのフードをニット帽の上から被る。
「……寒っ!……早く来いっ!」
分厚くなる夜の雲を見上げて、寒空の下、オレを探すミツに向けて言った。
隠れきらず袖からはみ出た指先を合わせて、息を吹きかける。
「……… さっみぃ…。」
オレ、一応、アイドルだよな?
何やってんだろ、こんな所で……
冷えていく体とぼんやりする頭。
足元に視線を落とすと、オレンジ色の明かりがさした。
その元を探る様に、ハッキリしない光の道筋を辿れば、隣の部屋のドアが薄く開いて、そこから光が漏れていた。
隙間から覗く白い手は、柔らかくドアノブを握って
不思議そうにオレを見る瞳と長いまつげ
コートの袖から見える手首は、強く握れば折れそうに細くて
視線を逸らせなくなった。
ーーー パッチリ
……やべっ
逸らせなくなった視線は、キミの視線とぶつかって、気まずい空気と、途端に、慌てだすキミ。
「あ…、あの、えっと…。」
忙しなく頬にかかる髪を耳にかけたり、下唇に指先で触れたり、明らかに動揺する姿が可笑しくて、笑いを堪えるのに必死になる。
次の言葉を探しながら、ドアの隙間からジリジリと出てくるキミは、恥ずかしそうに手を握ったり開いたり。
セットされた髪、上品なコート、センスのいいワンピースの裾。
細すぎず、形のいい膝から、足先まで現れると、足元は、クソダサいサンダルで、その破壊力ったら無い。
やべぇ、早くミツに言いたい!!!
必死で笑いをこらえて、手に入れたネタを忘れない様にと頭の中に焼き付けていると、遠慮がちな声が言った。
「どうかしました?」
オレとキミだけの空間。
深夜の空気を震わせて、その言葉が向けられるのは、オレ以外に見あたらない。
「えっ?」
通路に座り込んだまま、見上げるようにキミを見れば、薄桃色の頬が薄紅色に上気して、瞬きをする長いまつげから甘い匂いが放たれた。
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植尾あい(プロフ) - ノンさん» はじめまして。キミ声、何度も読んでもらえたなんて嬉しいです。ニカ中毒だなんて!光栄です!私の言葉、気に入ってもらえましたか?よかった!これからも、のんびりですがキミ恋もよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月25日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 初めてコメントさせてもらいます。キミ声にハマって、何度も読ませてもらって、何度も涙して、ニカ中毒になりました。(笑)ニカsideも楽しみに読ませてもらっています。楽しみがまた増えました。ありがとうございます。あいさんの言葉の表現、大好きです。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: d6afd85c10 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» 実は、見つけてたんです(ノ∀`*)ンフフ♪ なんか、こういううっかりしてそうじゃない?(笑)まだまだ、距離を置いて慎重なニカが、この距離をどうしていくのか、楽しみにしていて下さい!バンザイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - きななさん» バンザーイ!二階堂くんにバンザーイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - カギ見つけてたんだ!探したはずのポッケに入ってたとか本当にやってそうだなー(笑)ってニヤニヤしちゃった(°▽°)いつから「ニカ」が「高嗣」として接して行くのかとか、楽しみで仕方ないっ!ばんざーーーーい!! (2017年3月27日 10時) (レス) id: 6cd6e0891b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年12月25日 22時