シルエット ページ11
昼過ぎから仕事が入ってたから、朝一で荷物の搬入をお願いした。
早起きは苦手。
でも、こういう時は、ちゃんと起きられるから不思議。
次々と運び込まれる荷物を振り分けながら、まだ、カーテンすら付いていないリビングの大きな窓を開ける。
景色がいいわけじゃないけど、日当たりは最高で、柔らかな日差しに思い切り伸びをした。
「この荷物は、どちらに運びますか?」
引っ越し業者のスタッフが手に持ったダンボール箱をこちらに向ける。
「リビングにお願いしまーすっ!」
そう多くはない家具は、どれも見慣れた物のはずなのに、新しい部屋に運び込まれると、どこか違うものに見える。
心機一転?だっけ?
気持ちを切り替えるのに、環境を変えるのは、いい方法かもしれない。
でも、玄関から運び込まれるソファには、やっぱり、まだ、カノジョの記憶が滲んで、どこか居心地悪そうにリビングの片隅に置かれた。
「……あ。」
開け放たれた玄関ドア。
その向こう。
ゆっくりと通り過ぎる影が見えた。
朝の光に柔らかく包まれたそのシルエット
スラリと細い手足
緩くまとめられた髪が揺れて
何故かドキドキした。
一目惚れとかしない主義だし、ましてや、恋愛には懲りたところなのに!
しっかりしろ!オレ!
「隣は、女の人か。」
自分を落ち着かせようと口に出すと、余計にドキドキが増した。
……確かに綺麗なシルエットだった。
通り過ぎた向きからして、角部屋の住人。
それは、オレの隣人。
シンプルなパーカーに、細身のデニム。
飾らない人なのかな……。
一瞬の出来事のわりに、細かいところまで目に入っている自分に、少しだけ苦笑い。
「ま、関係ないけどね。」
言葉で、自分を違う場所に遠ざけて、なるべくフラットな気持ちに持っていく。
テキパキとこなされていく引っ越し作業は、たかが知れてる一人暮らしの男の荷物の量をあっという間に運び入れて、「ありがとうございましたっ!」と、スタッフのお兄さん達は、爽やかに去っていった。
閉じたドアに鍵をかけて振り向くと、いっぱいの光がリビングに注いで、オレの新しい居場所を照らしていた。
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植尾あい(プロフ) - ノンさん» はじめまして。キミ声、何度も読んでもらえたなんて嬉しいです。ニカ中毒だなんて!光栄です!私の言葉、気に入ってもらえましたか?よかった!これからも、のんびりですがキミ恋もよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月25日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 初めてコメントさせてもらいます。キミ声にハマって、何度も読ませてもらって、何度も涙して、ニカ中毒になりました。(笑)ニカsideも楽しみに読ませてもらっています。楽しみがまた増えました。ありがとうございます。あいさんの言葉の表現、大好きです。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: d6afd85c10 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» 実は、見つけてたんです(ノ∀`*)ンフフ♪ なんか、こういううっかりしてそうじゃない?(笑)まだまだ、距離を置いて慎重なニカが、この距離をどうしていくのか、楽しみにしていて下さい!バンザイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - きななさん» バンザーイ!二階堂くんにバンザーイ! (2017年3月29日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - カギ見つけてたんだ!探したはずのポッケに入ってたとか本当にやってそうだなー(笑)ってニヤニヤしちゃった(°▽°)いつから「ニカ」が「高嗣」として接して行くのかとか、楽しみで仕方ないっ!ばんざーーーーい!! (2017年3月27日 10時) (レス) id: 6cd6e0891b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年12月25日 22時