一の蛇 ページ2
《NO side》
「なんだあるじゃん、全員助かる方法」
「あ?」
「俺にジュリョクがあればいいんだろ」
何かに気付いたようにゴソゴソとポケットを漁っていた虎杖が取り出したのは、先程預けた宿儺の指。
「なっ、馬鹿!!やめろ!!」
虎杖は伏黒の制止の声も聞かずに、それをあーん、と食べるように構え……
食 い や が っ た
ゴクン、と虎杖の喉が上下するのを見た伏黒は、時既に遅いことを知る。
「(特級呪物だぞ!?猛毒だ!!確実に死ぬ!
だが万が一、万が一………!)」
伏黒の焦りを知ってか知らずか、汚い声をあげて突進してくる呪霊。
しかし、宿儺の指を取り込んだ虎杖は────
その呪霊を、素手で殴り倒した。
元々虎杖は常人を上回るパワーを持っていたものの、今回は文字通り桁外れの力だ。あまりの変わりように目を見張る伏黒の横で、呪霊はズゥゥウン、と音をたてて倒れる。
そして虎杖は、それを殴った、随分と変わり果てた自らの右手のひらを宙に翳して、珍しいものを見るかのようにじっと真顔で見詰め。
「────ケヒッ、ヒヒッ」
ゲラゲラゲラゲラと、聞くだけで背筋に悪寒が走るような不愉快な声を出して大嗤いした。
そして、それと同時に。
「………………遅かったかしらね」
薙刀を持ち、白い包帯で目を隠した一人の少女が音もたてずに降り立った。
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作者名:マザーグース | 作者ホームページ:
作成日時:2020年12月2日 14時