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三十一話 ページ31

翌年

ジョナサンとエリナのハネムーン。

Aは、仕事のために、とある船に乗り込んでいた。


実質、とった部屋も時期も全く異なることで、乗り込むまではお互い知らなかったことで驚いた。


「エリナ、おめでとう。」


柔らかい笑みを浮かべ、エリナのからだを抱き締める。


「A!ありがとう!」


そう言って、涙ぐみながらエリナも強くAを抱き締めた。


「A。」

「ジョナサンも、おめでとう。」


ふわ、と笑いかければ、変わらない、ジョナサンの明るい笑顔が向けられる。


「ありがとう、A。そう言えば、子供達は?」


ジョナサンの言葉に、Aはスピードワゴンに預けてきた二人の娘の姿を脳裏に思い浮かべる。

ディオと過ごした一週間の内に孕んだ二人。

双子の、女の子だった。


「預けてきました、万一船から落ちてしまえば大変ですから。」

「確かにそうね。」


ふふふ、と上品に笑いながら、エリナは優しい表情で自身の少し膨らんだ腹を見下ろした。


「もうすぐエリナだって産まれるんですから……無理はしちゃあダメですよ。」

「ふふ、妊娠中に走り回っていたAに言われたくないわ。」

「はは、確か、に………」



カシャン、と、ジョナサンの持っていたグラスが割れる。


「ジョナサン?」

「ジョナサンッ!!」


ズグリ、華やかな会場にそぐわない、酷い音が鳴り響いた。


「なッ!!A!?」


Aの腹部には、向こう側が見通せるほどぽっかりと穴が開いている。

幸いなのは、痛すぎて、痛くないことくらいだった。


「………ディオ、なの…?」


呟いても、勿論返事が返ってくるわけがないが、溢れんばかりに見開かれたアイスブルーの瞳は確かに、ディオを写していた。


「…ディオが……!?」

「Aッ!!Aッ!?」


エリナはAの体を揺する。


「エリナ…ジョナサン、の所、に…!」

「あ、そ、んなっ…」

「早くッ!!エリナ…ッ!!」


エリナがジョナサンを追うのを見届けた後、Aは一人、混乱に陥る会場内に


「ディオ……」



小さく呟きを残し、意識を経った___








【第一部・完】



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東雲出雲(プロフ) - 罠做さん» ありがとうございます!文章が素敵だなんて(*´ー`*)続編できましたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
東雲出雲(プロフ) - ランタンさん» ありがとうございます!続編ができたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
罠做(プロフ) - 続編楽しみにしてます!!文章が素敵で読み易かったです、続き気になりますねo(^▽^)o (2015年8月18日 2時) (レス) id: 1a112de355 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン(プロフ) - この話とてもよかったです!続編も頑張ってください! (2015年8月17日 20時) (レス) id: 751d6d43a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2015年8月15日 11時

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