138 非力さ ページ33
この日は、朧が1人で来ていた
朧「A!」
貴方「お兄ちゃん、苦しいよ」
朧「悪ぃ悪ぃ」
祖母「今日はどうしたんだい?」
朧「コレを渡しに来ました」
祖母「コレはなんだい?」
朧「Aが小学校入学する際に揃えるものに使ってください」
祖母「そうか。態々済まないね」
朧「それと別で、今日はAにランドセルを渡しに来たんです」
祖母「まだ早いんじゃないかい?」
朧「Aは保育所には通っていない分早めに用意したんですよ」
祖母「それでAが壊したり、傷つけたりしたらどうするんだ!」
朧「Aは、モノを大切に扱う子なので心配はないですよ」
朧はAにランドセルを渡した
淡い色でワンポイントがあるランドセルだった
朧「Aが喜んで良かったよ!」
貴方「大切にするね!」
朧「あぁ。お兄ちゃんはもう行くよ」
朧が行くと、祖母の態度が急変した
従姉妹「私、このランドセル欲しい!!」
祖父「そうだな。此奴には勿体ないからな」
従姉妹「やったー!!」
貴方「なんで……もう持ってるのに」
叔母「私の子が欲しいって言ってるんだから素直に寄越しな」
Aは、抵抗をしたが意味が無く
あっさりと取られてしまった
その日の夜Aは声も出さずに泣いていた
ランドセルは気に入って居たが1番の理由は兄の朧が折角買ってくれたのに守れなかった、自分の非力さに悔やんでいた
そしてAは、祖母に言われていた様に小学校に通えなかった