132 帰りたくない ページ27
Aは、澁澤龍彦に毎日会っていた
そんな日々のある日、珊瑚と琥珀は澁澤の家に慌ただしくやって来た
澁澤「どうした、珊瑚、琥珀?」
琥珀「Aが、風邪を引いたの!
だから、此処で暫くAを休ませて
澁澤「嗚呼、構わない。
あの家だとAはゆっくり休みも出来ないからな」
澁澤は、Aが祖父母の家でどんな目に遭っているのか、知っていた為躊躇いもなくAを家に招いた
珊瑚「37度9分……8度近い」
澁澤「そうか。A辛いな」
貴方「龍兄の手、冷たくてとっても気持ちいい」
澁澤「今はゆっくり休め。林檎でも食べるか?」
貴方「うん」
澁澤「切ってくるから、待ってろ」
貴方「うん」
澁澤「A、林檎切ってきたぞ」
貴方「ありがとう、龍兄。わぁ、ウサギさんだ」
澁澤「ゆっくり、食べろ」
貴方「うん。おいしいよ、龍兄」
澁澤「そうか」
貴方「龍兄……」
澁澤「なんだ?」
貴方「ずっと、傍に居て。
龍兄も居なくならないで……1人にしないで」
澁澤「安心しろ。Aの傍に居る。」
貴方「我儘でごめんなさい」
澁澤「我儘ではないから安心しろ」
貴方「ありがとう、龍兄」
澁澤「お休み、私のA」