7.「そんなことどうでもいいけど」 ページ8
高校生活は楽しいものでした。
勉強するために学校へ来ている人しかいなかったので、友達を作らなくても全く苦しくありませんでした。
人付き合いが上手いのか下手なのかは分かりませんが、ペアを作れと言われたら即興で近くにいた人となることが出来ましたし、相手も嫌そうな顔ひとつ浮かべないでペアになってくれました。
ただ、テスト前になると空気が異様にピリピリしていたことは嫌いでした。
みんながむしゃらに勉強して、ひたすらひたすら単語を覚えて。
テスト前のクラスメイトたちはかなり恐ろしかったです。
私はそんなに必死をこいてなかったので、みんなに怪訝そうな顔をされました。
それでもテストはなんとか乗り越えてはいたので、結果的に一番楽でした。
ただ、家に帰ったあとは退屈でした。
入りたい部活もなくて、誰よりも早く家に着いてしまったからです。
家に着けば、兄がいる。
その事実が怖くて、また居間から聞こえる声も、私が居間を通り過ぎるときの兄たちの視線も、何もかもが怖くて、自分の部屋に逃げるようにして入っていきました。
ご飯も、勉強がしたいからと言い訳をしてみんなと時間をずらすか、お母さんに部屋へご飯を持ってきてもらうかしていました。
そういう生活を始めて二年ほどたったくらいに、大学を受験しました。
頭のいい人たちが通う、いい大学。
そこに行けば私もいい子になれると信じて、そこを受験しました。
しかし、あろうことか面接試験で落とされてしまったのです。
筆記は満点だったのに、面接はてんで駄目だと書かれた通知書を見たときは、頭が破裂するかと思いました。
お母さんになんて言って許してもらおう。
お父さんになんて言って許してもらおう。
そんなことが頭から離れなかった私にやさしく手を差し伸べて、「よく頑張ったわね」とお母さんは言いました。
お父さんは、「今まで頑張りすぎて、少し疲れてしまったんだよ。今はゆっくり休みなさい」と、私のことを慰めてくれました。
兄たちは口々に、私のことを元気づけようとしてくれたのだと思いますが、怖くて逃げてしまいました。
それからは、勉強をすることが嫌になって、何もしなくなりました。
人と接する能力が著しく低いということを痛感した私は、少しでも人と接することが上手になるようにと、接客業のアルバイトを始めました。
そんな私の過去なんて、どうでもいいだろうけど。
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時