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41.「今だ、飛び込め。」 ページ43

『今更なんだよ』



やめて、と叫んだあとにふと、再び猫が口を開いた。

本当に饒舌な猫だ。とっくの昔に捨てた本音を今、おそ松たちの前で簡単に言ってしまうなんて。




『…….、だから止めようって言ったのに』


その猫はけろっとした様子で淡々と私では無い誰かの言葉を繰り返した。


反射的に十四松の方を見た。


しかし、彼は眉を下げて一松を見ていた。


他の兄も、みんな。


一人違わずに一松の方に視線を向けていた。

どれも、悲しそうな、不安げな顔だった。



「……何で揃って僕の方を見てるわけ?気色悪いんだけど」


『…またそうやって僕を否定するつもりかい?怖いから、やめてくれよ。』



一松の目が、静かに見開かれた。


私の目も、きっと同じだっただろう。



誰も知ることのなかった一松の本音が、今聞こえているんだ。




「……、い、ちまつ」



一松の方が、ずっとずっと怖い。

いつもなにも考えているのかも、私についてどう思っているのかも分からないから。




『お前の方がずっと怖い。なにを考えているのか、私をどう思っているのかわからない』



「っ…、うるさい。兄をお前呼ばわりするとか、一体何様のつもり?…お前なんか、お前なんか大嫌いだから。」



『Aにお前呼ばわりされるくらい、僕は最低なことしちゃったんだ。最低な兄。こんなにも大好きなのに』




とどまることを知らない、私たちの本音。


それを見ていることしかできない兄たちは、いったい何を思っているのだろうか。



急に一松の本当の気持ちに気が付いてしまったために、私の心が悲鳴をあげていく。



やめて、それ以上はやめて。


本当は一番真面目で、兄弟思いな人だったってことくらい、私は知っていたから。


それを忘れてしまったかのような素振りをして、本当は忘れることができずに苦しんでいただなんてことを、私に気付かせないで。



「……っ、うるさい!!あの時私に一番酷いことを言ったくせに!なんて言ったか覚えてないでしょ、『かあさんに褒められたいわけ?がめついやつだなあ』って!!兄弟の中で一番褒められてたのも、がめつくなかったのも一松だったもんね!今更そんなこと言われても、信じられる訳ないでしょ?!」





『……、一松なら助けてくれるって、信じてたのに。』


一松の顔が、歪んだ。

そうして今にも泣きそうな顔をしながら、私にこう吐き捨てた。



「っ、鬱陶しいんだよ、どっか行け!!!」

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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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