24.「モラトリアム」 ページ26
今日は兄さんたちと一緒に、ハローワークに行った。
理由は簡単だ、就職をするため。
だがしかし、こんな人間性の僕たちがまともな自己PRなんてできるはずもなく、全員門前払いされる始末。
「別に就職なんかしなくてもよくない?」
僕の一言にチョロ松兄さん以外の全員が頷いた。
これじゃあ正しいことを言ってるチョロ松兄さんが悪役みたいだ。
昼間からどんどん酒を飲んで、ぐでんぐでんに仕上がってきた頃。
既に夕方になっていて、あたりは夕焼けに染まっていた。
「それじゃあそろそろ、帰りますか。」
おそ松兄さんのその一言にみんなが立ち上がる。
支払いなら適当にクレジットで済ませるであろう。
父さんにこの前怒られたけど。
「ほら、チョロ松兄さんいくよ」
「なーにが彼女だぁ!『化粧失敗したぁ、全然可愛くないよぉ〜> <』『そんなことないよ!』…ってなるか普通!!お前みたいな、化粧だけで可愛く見せてるブスのことなんか誰も見ちゃいないんだよォア!!そんならまだAのが何百倍も可愛いから!!」
チョロ松兄さんに酒を飲ませると面倒なことになるということを忘れていた。
もはや完全に悪酔いした何処かのおじさまだよ。
*
「ただいまー」
夕方の5時。
いつもならそろそろ母さんとかがご飯を作り始めている時間なのだが、珍しく台所から音が聞こえてこない。
出かけているのだろうか。
「…んー?母さんたちいないな。どこいっ……!」
ふと、居間に入ったおそ松兄さんが動きを止めた。
なにがあったというのか。
「なにかあったの?おそ松兄さん。」
「あれ、みて。Aが寝てる。」
そこには、窓際で気持ちよさそうに眠るAの姿があった。
「……、ふっ。いつもこれくらい優しい顔してたらもっと可愛いのにな。」
いつの間に毛布をもってきていたのか、カラ松兄さんが寒くないようにと数枚の毛布を持ってきていた。
さりげないところで気が利く人だなぁ。
「ありがとうカラ松兄さん。……ゆっくりやすんでね。」
冷戦状態な兄妹の間に、久しぶりに緩やかな時間が流れた。
いつか、毎日これが続けばいいのに、と願いながら、僕たちは居間を後にした。
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時