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21.「《五人の》悪魔」 ページ23





それは、ずっと昔のことです。


どれくらい昔かというと、私のことを「敵」だと、「要らない子」だと兄たちが思い始めたころ。相当昔の話でしょう?


その頃に、紫色の兄は居間で眠りこけている私のことを見ながら

「やっぱ止めてあげない?仮にも妹なんだよ。」


と、唯一真面目そうに答えていたそうです。


「なんだよ一松、お母さんに怒られるのが怖いのか?」


濃い空色をした兄は紫色の兄を茶化して、小馬鹿にしていたようです。
頭も色も、からからからっぽ。


「別にそういうわけじゃないさ。いや、確かに怒られるの怖いけど、普通妹には可愛がってなんぼってとこないか?」


「えー、ないよー。少なくとも僕たちにはないよ」


桃色の兄は紫色の兄の考えを真っ向から反対し、開き直っていたそうです。
あざとい桃色、腹はどす黒い濁った色。


「大丈夫だよ一松、このチョロ松様が母さんに絶対バレないように、かつ怒られないようにした最高の作戦ってのを考えてやったんだからさ!」


緑色の兄は紫色の兄を宥めるようにして、自分の腕に誇りを持ち続けたそうです。
潔くも素早い、ずる賢い早緑。



「…僕、一松の言ってることが正しいも思う…!Aは可愛いもん、僕たちが守らなきゃ…!」


黄色の兄は紫色の兄に共感し、私のことを庇おうとしてくれていたそうです。
周りからの視線で正義感を潰されてしまう、可哀想で暖かい黄色い向日葵。



「でもさぁ一松、考えても見ろよ?Aなんかに母さんたちが取られちゃうんだぜ?そんなの嫌だろ?」


赤色の兄は紫色の兄の心を傾けて、こちら側へと引きずり込もうとしていたそうです。
助けるべき人を見誤った、偽りの英雄。


「……一松?……違うよね、一松はAのこと、」

「十四松もさ。Aのためだけに自分がほったらかしになっちゃうなんて嫌だろ。可愛い妹のためなら、なんでも我慢できるわけ?」


偽りの英雄は、2人を黒い翼で包み込もうとしたそうです。

暖かい向日葵は、必死で抗ったそうです。

早緑は、ただ愉快そうに笑っていたそうです。

真っ黒な桃は、呑気に鼻歌を歌っていたそうです。

からっぽの空色は、何も考えずにその雰囲気を楽しんでいました。


そんな5人に、ついに紫色の兄は心を転ばせ

「…それもそうだね。どうせバレやしないんだし。」


といい、真っ暗に曇る夜空色へと姿を変えたのでした。


「あいつはどうせ要らない子なんだし。」


それが建前とは、誰も知らずに。

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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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