13.「からの、」 ページ15
「……ごちそうさまでした、」
誰もいない静かな部屋で、一人でご飯を食べ終えた。
孤食をはじめて5年ほど。もう寂しいだなんて思わなくなってきた。
兄たちとご飯を食べるのはなんとなく怖いし、お母さんたちとご飯を食べたいけども、なんとなく気が引けるのだ。
知り合いとご飯を食べたこともないし、本当にひとりぼっちだ。
「当たり前か。……食器片付けよ。」
部屋の襖を開けて、階段を降りる。
隣からおそ松たちの声がしないけど、どこか出かけてるのだろうか。
「十四松ー!どんぐりを散りばめるなー!!」
ふと、居間からチョロ松の声が聞こえた。
この歳で喧嘩でもしてるのだろうか。もう成人しているというのに。
「ごめんごめんチョロ松兄さん!!でもね!Aにあげるんだよー!!!」
水につけた食器が静かに沈んでいく。
私の心みたいに。
「……、私のため?」
台所と居間は少し離れてるから、私の声は聞こえないはずだ。
ただ、十四松の声は大きいから聞こえてくるのだろう。
私は兄たちの声を聞きながら洗い物を始めた。
「Aにあげる?!…おい十四松、Aと何か話したのか??」
十四松が私の名前を挙げた途端に、居間の雰囲気が重くなった。
そりゃあ嫌いな人の名前が出てきたら嫌でしょうね。
私だって、おそ松たちの話しされたら、怖くて____。
「うん!!ほらこれ!!びろびろをくるくるしてくれてね、ぱっちんしてくれたんだ!!」
「あー!それ気になってたんだよね!…Aがやってくれたの?!僕もやってもらいたいなぁ、袖伸ばそうかなっ!」
十四松の言葉に、トド松が反応する。
お前は私にジュースをかけてきたから駄目だよ、基準が厳しいだろうけど駄目だよ。怖いから駄目だよ。理不尽だろうけど駄目だよ。
「……よかったな十四松、やっとAと話せて。めちゃくちゃ緊張してたもんな!」
ふと、おそ松が十四松を称えた。
なにそれ、十四松は私と話がしたかったってことなの?
こんな要らない悪い子と話すことなんて、何もないとおもうけど。
「…うん!!口聞いてくれるか分かんなかったけど、俺の目見てちゃんと話してくれた!!それにくるくるしてくれた、A、《いい子》!」
がしゃり、と手元が狂う音がした。
14.「罪悪感で潰されてしまいそう」→←12.「一生無理でしょう」
2728人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時