10.「こんな人間性じゃ」 ページ12
「なんか、急がなきゃかなって…!!っへへ、私、こう見えて中学の頃陸上部でしたし!」
「今は演劇部なんでしょー?ダメだよ急に激しい運動しちゃ!」
ミカちゃんはいつも元気で、純粋で明快な子だ。
高校二年生で、私の二個下。
「あっミカちゃん。そういえばこの前言ってた主役のやつ、どうだった?」
カラ松が中学のときに演劇部だったからか、なんとなく気になって仕方がなかった。
あとは純粋に演劇が好きだから。
中学のときはカラ松が居るからって理由で裏方に回っちゃったし、カラ松が引退した後すぐ辞めちゃったからなあ。
「あっ!それなんですけど、聞いてくださいよ先輩!!私、なんと今回、主役になれたんですよっ!」
ぴょんぴょん跳ねて喜ぶ姿は、ウサギみたいでとても可愛らしかった。
でも、主役になれたことを喜ぶ姿がどうしてもカラ松と重なって、複雑な気持ちにもなった。
カラ松とミカちゃんは違うんだ。
そう自分に言い聞かせて、笑った。
「そうなの?!良かったじゃん!!主役、頑張ってね!!……なんかね、私の兄が演劇部だったんだけどさ、喜ぶ姿がミカちゃんと似ててくすっときちゃった」
もし変な顔をしていたら大変だから、さりげなくそんなことを言っておいた。
別に兄たちのことが嫌いなわけじゃないし、関わってないだけだし。
カラ松が演劇部だったことに反応したのか、ミカちゃんは目を輝かせて私に詰め寄った。
「えーっ!!A先輩のお兄さん、演劇部だったんですか?!…あ、あの!!私、先輩のお兄さんからアドバイスとか頂きたいです…!!」
人生の中で、これほどの墓穴を掘ったことがあっただろうか。
まさかこう返されるとは知りもしなかったから、余計に面を食らった。
「あ、いや、いいけど……、中学のときのことだし、いいアドバイスできないかもよ?」
「それでもいいんですっ…!!私、主役なんて初めてで、いろいろと教えていただきたくて…!!」
そっか、ミカちゃんも演劇に必死なんだ。
その合間を縫ってバイトに来ているわけなんだから、断るわけにはいかない。
だけれどカラ松と話すのもすこし気が引ける。
すれ違うのも怖いのに。
「じゃ、じゃあ今度兄が暇なときにでも言っておくね…!」
「はい!ありがとうございますっ!!」
ふと時計を見ると、開店時間間際だった。
私たちは急いで支度して、仕事場へ急いだ
*
そ、総合一位…?!作って1日で…!ありがとうございます!!
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時