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9.「働かなければ」 ページ11

「おはようございます、お疲れ様です」


にっこり微笑んで、私はそういったであろう。


自分の顔が常に見えているわけじゃないから、実際はどんな顔していたかだなんて分かりもしないこと。

だから、私は笑おうとして笑ったから、笑っていたということでいいのだ。



「あっAちゃん!おはよう、今日もよろしくね!」


店長さんはお母さんみたいに優しくて、わたしたちバイト生やパート生のことを一番に考えてくれる。

シフトを組むときだって、本人たちの希望とそれぞれの体力や都合を考えて、疲労を最低限に抑えてくれたりもする、素晴らしい方だ。


こういう人のことを「良い人」っていうのかな。

そしたら、この人は幼い頃「良い子」だったということか。


「悪い子」が「良い人」になれるわけないんだから。

なれたとしても、それはただの「八方美人」なんだから。


私はそう思ってる。



「おはようございます!今日は近くのライブハウスでバンドのライブがあるそうですよ」


「あら、そうなの?!そしたらお客様が増えるかもしれないわね…!じゃあ、みんなで頑張っていきましょうね!」


店長さんは明るく聡明な方で、頭も良い。

性格もよくて顔もよくて頭も良いだなんて、どれだけ魅力的な方なのだろうか。


「はい!……あれ、他のみんなはどこへ?」


制服に着替えていると、ふと他のバイト生がまだ着ていないことに気がついた。


開店時間まであと15分。急がないとお客様がいらしてしまう。


「なんかクミちゃんは今日遅れちゃうんだって。子供ちゃんが風邪ひいちゃったみたいで…。ミカちゃんは部活に連絡してから来るみたいだから、そろそろくるかな?」


店長さんが言い終わるとほぼ同時に、スタッフルームの扉が勢いよく開いた。


「っはぁ…はぁっ…!!お、おはよう、ございます!!!」


同じバイト生のミカちゃんが息を切らしながら扉を閉めた。

きっと急いで来たのだろう、汗だくだ。


「ミカちゃんおはよう…、だ、大丈夫??制汗剤あるよ…!」


冬にも関わらず常備していた制汗剤を取り出し手渡すと、息絶え絶えでありがとうございます、と言われた。

本当に大丈夫だろうか、一抹の不安を感じる。


「ど、どーしたのミカちゃん、そんな息切れして…?!そんな急がなくても、すぐにお客様がいらっしゃるわけじゃないのに!」


店長さんの言葉を聞いて、ミカちゃんはあははっと笑って見せていた。

10.「こんな人間性じゃ」→←8.「そんなこんなの紆余曲折」



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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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