1.「ただいま」 ページ3
1.「ただいま」
ガラガラ。
懐かしい引き戸の音を聞いた。
＊
2年前にふらっと謎の一人旅に出た俺。
理由は俺自身にもよく分からないが、多分全く同じ顔の兄弟たちから離れてみたかったんだと思う。
あん時はみんな焦りに焦って、俺のことを必死に止めようとしてたなあ。
「A一人で行くのは危ない！」だの「俺も行く！」だの。もちろん振り払って楽しんできたよ。
でもまあ、実際旅に出てみるとかなり寂しいものだった。
あいつらと馬鹿して笑って遊んだりするのはすげぇ楽しかったし、何より幸せだった。
全く同じ顔が6人も居るのはちょっと不気味だとは思っていたが、今となってはむしろ6人居ないと何だか調子が狂う。
「なあ、一松兄さん。」
「……何？」
隣で眠そうに瞼を下ろし、猫背のせいで少し縮こまっている一松兄さんだってそうだ。
少し見ない間にかなり変わってしまったが、それでも雰囲気と声でわかる。兄弟とはそれくらい近い存在なんだな、とつくづく思った。
「あのさァ。俺、お前らとまた馬鹿みたいにふざけて遊んで笑いてェもんなんだよな。…いっそ兄さんとだけでもいいよ、今日はまくら投げして遊ぼう。」
「……まくら投げだけで満足なの？」
ふと、俺の言葉を聞いた一松兄さんが、にやりと笑みを浮かべてそう言った。
…なるほど。
「満足するわけねーだろォウ！俺ァ前みたいにみんなと過ごしたいんだ、ずーっと、ずーーっと、一生な！」
「そういうと思った。……まあでも、そんなこと思わなくても、必然的にそうなってたと思うよ、俺たち。」
「……えっ、それってどういう…」
そこまで言って、一松兄さんがとまった。
つられて止まると、すぐ横側に懐かしい家があった。
「……！！…、なんか泣きそう」
「なんでAが泣くの、俺たちのが嬉しさで泣きたいってのに。」
「だってさァ、またあの可愛い兄弟たち全員に会えるんだぜ？！そんなん嬉しみしかねぇだろ」
俺が嬉しそうに語る姿が可笑しかったのか、一松の口元が少しだけ緩んだ気がした。
「……可愛い、ねぇ。あんなやつらが？」
「もちろん！だって家族だし、何より血の繋がった兄弟だしさっ！」
そういうと、一松兄さんは閉じかけた目で俺をじっと見つめた。
一松、ほんと変わったな。昔は真面目でもっと明るかったのに。
「……そ。まあ、精々その兄弟愛を見失わないように頑張りなよ。」
ほら、入るよ。と呟き、一松兄さんは俺の手を引いて引き戸を開けた。
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くもの巣 - テンション高尾wwwwすばらしいwwww (2016年3月11日 20時) (
レス) id: b8ecd8eab1 (このIDを非表示/違反報告)
松竹梅 - とても面白いです!!更新更新頑張ってください!応援してます!!! (2015年12月28日 13時) (レス) id: 2e028300d7 (このIDを非表示/違反報告)
四里緋。(プロフ) - エンドさん» そうだったんですか！そうとは知らず載せてしまいました！！教えてくださりありがとうございます、消しておきますね！！ (2015年11月25日 7時) (レス) id: cdc15d1d82 (このIDを非表示/違反報告)
エンド - Twitterのアカウントの載せるのは違反ですよ (2015年11月25日 0時) (レス) id: db4e39ba66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2015年11月17日 21時
