【刀ミュ】最年少の高校生男子は秋田藤四郎になりました

16　お好みで ページ19

「あ、Aもう着いた？」

『今ホームに居ます。北改札ですよね』

「そうそう、出たとこで待ってるから」

『はーい、すぐ行きます』


新幹線を降り、スーツケースを引いて歩く。
やって来たのは、次の公演の舞台・大阪である。




『お待たせしました！』

「お疲れ様ー、重かったでしょ
一回ホテル行って荷物置いてこよ」


この後は、東京千秋楽の日に約束したご飯に行くことになっている。
それならば、と横田さんと駅で待ち合わせをしていたのだ。


「そういえば俺たち相部屋だってさ」

『ほんとですか！楽しみです』


若手は相部屋で、先輩は一人部屋
地方公演の部屋割りはそれが基本だ。

聞けば、有澤さんと岡宮さんが同室同士だそうなので
今日の夜に突撃することになった。
勿論、あんまり騒ぐと怒られるのでほどほどに、だ。
稽古以外で怒られたくはない。




・



ホテルで有澤さん岡宮さんと合流し、四人そろって
繁華街の方へと足を伸ばした。
大阪に来たならとりあえずはこれ、と激押しされた
お好み焼き屋さんに入る。
昼間っからガッツリである。


「Aそれもう焼けてるから食べて大丈夫だよ」

『わ、いいんですか？』


焼きあがった一枚にソースをたっぷりかけて頬張った。
ちょっとかけすぎた気もするけど、公演中は毎日運動しているから大丈夫なはずだ。
なんてったて刀剣ダイエット。
食べても食べても相殺される。


『っ！美味しいです！』

「な、ちょっと形崩れてるけど」

「別にいいだろ味は良いだから」

「素材のうまみに感謝して下さい」

「なに目線？野菜？」


横田さんの作ったお好み焼きは、ひっくり返す時に失敗
して少し崩れてしまった。
それを揶揄う有澤さんも一回目は失敗していたのだが、
次で成功させたので一歩上だ。


「Aもやってみてよ、絶対難しいから」
『え、僕もですか？…出来るかなぁ』


眺めていたら、巻き込まれた。
言われるままにヘラを持って、生地の下に差し入れる。
あ、これ意外と重っ


『あ……』

「あ〜ほら、やっぱ難しいって」

「このメンバー絶対お好み焼き向いてないわ
荒木さんとか誘うんだった」

「なんで？」

「関西出身」

「括りがでかすぎるしお前も兵庫だろ」


お好み焼きは無残にも楕円形に広がった。
これは思っていた数倍難しい。
が、味は変わらず美味しいから良しとした。
素材のうまみに感謝。




なおこの後 岡宮さんがいとも簡単に成功させ、テーブルを湧かせることとなる。

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