【刀ミュ】最年少の高校生男子は秋田藤四郎になりました

13　ゲネプロ ページ15

公演初日を間近に控え、本日はゲネプロの日。
Generalprobe (ゲネラルプローベ)とは、
本番同様に行うリハーサルのことである。

ネット記事に使う写真や動画なんかも今日撮影される。


『はぁあ…緊張するな』

衣装に身を包み、鏡の前でくるくると回る。
こだわりが詰まった衣装は、かっちりとして格好いい
渾身のメイクは今日も最高に秋田藤四郎だし
万全じゃないのといえば、自分の心くらいである。


『よし 大丈夫！』


パチンと顔をたたいて気合を入れた。


「A早くー円陣組むよ」

『はーい！』


本体と帽子を手に持って仲間たちのもとへ。
楽屋の外には、既に円陣が出来上がりかけていた。
どうやら出遅れたみたいだ。


「Aくん、ここ入りな」

『星野さん！ありがとうございます』

「困ったときはお互い様だよ」


手招きされるままに入れてもらったのは、星野さんと有澤さんの間。
背の高い有澤さんの肩には当然手が届かなかったので、
手は腰にまわすことにした。


「いやこの人、いい先輩風装ってるけど
俺の隣は肩凝るから嫌なだけだぞ」

「樟太郎は大きすぎるんだよ」


なるほど確かにお互い様だ。
この人、実は結構お茶目なのである。


「お、全員揃ったかな？」

「みたいだね」

「それじゃあ今日は隊長のAから一言どうぞ」

『え…は、はい！
えっと、明日の公演初日に繋げられるように
怪我なく頑張っていきましょう


…刀ミュ！』


「「おーーー！！」」


舞台を作り上げる全員の掛け声が
楽屋に力強く響いた



幕が 開く。





・





「隊長、秋田藤四郎」

『戦ですね…頑張るぞ』



「刀剣男士 出陣！」


主君の掛け声と共に出陣曲が流れ始める。
刀ミュのテーマソング、刀剣乱舞だ。



それぞれの男士を象徴するソロパートで構成されたこの曲
僕のパートは物吉さんの後、サビの直前だ。


「この勝利運ぶために」

『天際駆ける 自由な鳥よ』


今日からこの先ずっと付き合うことになるパートだ。
その始まりを、一文字ずつ噛み締めた。


それからサビ、続いてまたすぐにソロがある。


「斬り裂いた夜空の向こうに何が待つのだろう」

『僕は鋭く在る
斬れないものなどあるものか』


この部分には特に力が込もる。

秋田藤四郎は、僕は、ここで決意するんだ。
刀剣男士として敵を倒す、と
たとえそれが誰であろうとも。

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