【刀ミュ】最年少の高校生男子は秋田藤四郎になりました

11　撮影 ページ13

某日、都内スタジオにて


花鳥のビジュアル撮影の為
刀剣男士キャストが集まっていた。


『うわぁ〜凄いです！』


秋田の衣装は、まだ稽古でも着た事が無いため、
袖を通すのは今日が初めてだ。

思ったよりも軽めの鎧
衣装さんイチ押しの破れにくい白タイツ
ウィッグに固定できる帽子

どれもが僕の体にピッタリで、動きやすそうだ。
激しい殺陣も出来るし、動いてもシルエットが崩れない。
パーツひとつから拘りが分かる。


『あ！眉毛もピンクになってる』

「そりゃそうだよ」


しげしげと鏡を見つめる僕を、すっかり和泉守の姿になった有澤さんが面白そうに眺めている。

衣装を着て、しっかりメイクをしてもらい
ピンク色のフワフワのウィッグをつけて
苦戦しながら淡い空色のコンタクトレンズを付ければ
鏡に映る自分はもはや別人だった。


「てか、次Aの撮影じゃないの？」

『そうでした！行ってきます』


撮影中だってことをすっかり忘れてた。
鏡の中の自分に別れを告げ、慌てて本体を掴んでスタジオに向かう。

…わ、この銅鎧も思ったよりスベスベするな！





・




「Aくん笑わないでくださーい」

『ごめんなさいっ』


メインビジュアルは真剣な顔で。
そう言われたのに、ついニヤニヤしてしまう。
どうもテンションが上がってダメだ。

なんとかぐっと笑顔を押し込める。
その代わり、ブロマイド用の写真はとびきりの笑顔で撮影した。


「Aくんお疲れ様〜
次はファンサイト動画の撮影お願いします」

『分かりました！』


今日だけで撮り終えなくてはいけない写真は山積みだ。

ブロマイド、アクリルキーホルダー
缶バッジにカウントダウン用の写真…

もう、いつ何処でどんなポーズをしたかも思い出せない。
必死でポーズをひねり出したら、今度はしゃべることを考えなくてはいけないらしい。


「それじゃ撮りますー3.2…」


『ミュージカル刀剣乱舞公式ファンサイトを
ご覧の皆様！
はじめまして秋田藤四郎役の笹沼Aです

ずっと憧れだったミュージカルに出れること、とても光栄に思います
秋田藤四郎として精一杯生きるので
応援よろしくお願いします！

それでは、主君達にお会い出来るのを
楽しみにしています。
お土産話も聞かせてくださいね！
ばいばい！』


よし。うまく出来たはずだ。
緊張したけど噛まなかった…よね？






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