愛を込めて花束を2【降谷零】

09話 ページ12

萩原と松田が死ぬ程笑い倒したあのオチは、降谷からの”組手”という名の制裁により口止めされ、食堂に居合わせなかった残りの2人には”萩原が彼女にフラれた”事だけが伝えられた。

「確か、それで伊達が傷心パーティーでもやろうって言い出したんだったよな。」







傷心パーティーとは名ばかりで、5人はいつも通りラーメン屋を目指して歩いていた。
前に萩原と松田が並び、後ろに残り3人が続いて歩く。

『次は料理が上手な子が良いかな。
非番の日に弁当持って公園でのんびりピクニックとか良くない？』

『俺はヤダね。』

『肉じゃが得意な子とかベタだけどやっぱりグッとこない？』

『……。』

『やっぱり松田もグッと来るよな！さすが松田！』

黙り込んだ松田の肩を萩原がやや強引に組む。
賑やかな2人(主に萩原)の声が街の喧騒に溶けていく。

『肉じゃがが得意料理とかちょっと狙いすぎじゃないか？』

『ああ、あざとい。』

『黙らっしゃい‼そこの幼馴染コンビ‼』

『指さすな萩原。』

『それにしても萩原、案外落ち込んでなさそうだな。』

『かぁーっ‼折角俺が傷心パーティーしてやろうって提案したってのに、お前って奴はもう次か…。』

『良かったな、今日は伊達の奢りらしい。』

『え、ちょ、降谷⁉』

『ゴチー！』

『チャーシュー麺ー！』

『俺は奢るなんて一言も言ってない！』

走り出した萩原と松田を、伊達が遅れて追いかける。
それを遠い目で見ながら、降谷達は速度を上げる事もなく歩き続ける。

『ちなみにゼロは何が良いんだ？』

『何が』

『得意料理』

『……だし巻き玉子、と…味噌汁』

『ハハ、日本人だなぁ』






『なぁ…あいつら、なんか厄介事に巻き込まれてないか？』

『おいおい、面倒事はやめてくれよ…』




『巻き込まれたんじゃなくて、自らいったわけか…。』

『助けたっつーか、ただ邪魔だったからよ。』

『なんか、この近くに昔バイトしてた中華屋あるからそこでご馳走してくれるみたいだよ。』





『あんたらみたいな人達が日本を守るっていうなら、安心だな！』

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