検索窓
今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:33,360 hit

59、ちゃんと振られる ページ9

こんな熱い気持ちを、今までどうやって隠してこれたんだろう。


「A、ごめん!あたしが無神経だった!本当にごめんなさい」

「ううんっ、美香が悪いんじゃない。
美香は何も悪くないから」


目を潤ませながら謝る美香に、ぶんぶん首を振りながら。
それでも止まらない涙を拭う私を見て、大きくひとつ息を吐き茜が言った。



「……ねぇA。拓哉の友達に会ってみない?」


突然の話に涙を拭う手を止めた。


「……友達?」

「実はね、ちょっと前から拓哉の友達にAを紹介して欲しいって頼まれてたの。
Aはそういうの嫌かなぁって思ったから何となく誤魔化してきたんだけど。
でも、今思った。Aに必要なのは、新しい出逢いなんじゃないかって」


茜の話に美香が目を輝かせた。


「いいじゃん!会ってみなよ!もしかしたら川島なんかより、ずーっといい男かもしれないし!!」

「……」


茜の彼氏の友達。

茜が勧めてくれる人だ。

いい人なのかもしれない。



だけど……。



「……やっぱ、無理?」

茜が私を覗き込む。

「……ん、ごめん……」


とてもそんな気になれない。


「…そうだ」

突然美香が声を張った。


「Aも、川島にけじめつけてみたら?」

「……けじめ?」

目が合うと美香が力強く頷いた。


「実は私ね、光輝と別れた時、その事実をなかなか受け入れられなくて。
どうしても会いたくなって何度も家に押し掛けたりもしてね。
でも、その度に『俺たちはもう無理だ』って光輝に冷たく追い返されて。
辛かったよ?辛かったけど、私が今笑えるのはきっと光輝がちゃんと私を振ってくれたからだと思うんだよね」


高野と別れた時。
人目を気にすることなく泣いていた美香の言葉だった。



「美香も頑張ったんだね…」

茜がよしよしと笑いながら涙ぐむ美香の頭を撫でる。


「ちゃんと終わらせるのって大事なことだと思うよ」

穏やかに美香が笑う。


その笑顔が

眩しいと思った。

自分の気持ちを誤魔化しながら笑っていた私とは全然違う笑顔。



……私も、そんな風に笑える日がくるのかな。
いつか川島のことを想い出として残せる日がくるのかな。


こんなに苦しい想いをしなくて済むのなら

私もちゃんと終わらせたいな。



私の川島への、この『想い』を。

60、久々の彼の声→←58、噂話で本音を知る



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。