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90、震える胸 ページ40

「少し歩く…?」と言った川島の隣を歩く。

静かな住宅街。
聞こえるのは、私たちの足音と、川島が自転車を押す音。


並んで歩く私たちを外灯が照らす。
そしてふたつ並んだ影を見るだけで、ドキドキと胸が鳴った。


ふと、隣を歩く川島に違和感を覚えた。

……あれ?


「もしかしてまた背伸びた?」

「うん。高校入って10センチくらい伸びた」

「えっ!じゃ180センチある…?」

「うん」


なるほど。だからなのか。

中学の時は、あんなに似合っていた『可愛い』という形容詞がなんだか似合わない。
逆に、広くなった肩幅のせいか逞しくなったように見える…。



「いいな。私なんて1センチも伸びてないよ」

「女の子だからいいよ」

「そうかな」


女の子だから。
当たり前のことを言われただけなのに、キュンキュン胸がうるさかった。



「あそこ……座る?」

少し歩いた先の小さな公園で、川島が砂場の前に置かれたベンチを指さし自転車を停めた。


子どもの頃、美波とよく遊んだ小さな公園。

滑り台とブランコと、砂場があるだけの小さな公園のベンチに、ふたりで座った。

砂場には忘れ去られた小さな赤いバケツがひとつ。
聞こえるのは風で木の葉が擦れる音。


下を向いて足元の砂を集め出した川島の右足を眺めながら、ふぅ…、と息を整えた。


「風が…ちょっと強いね」

私の言葉に「…うん」と頷いた川島が

「……あのさ」ボソッと口を開いた。




「栗原と付き合ってる奴って同じ学校の人…?」



下を向いたまま話す川島の顔は見えなかった。

だから、彼がどんな意図があって
どんな理由でそんなことを聞くのかわからなくて

それだけで、胸が震える。

91、質問の意味は→←89、懐かしい笑顔



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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

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