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88、またもや電話が ページ38

それは考えていなかった。
自分の気持ちまで考えていなかった。

平気……?
涼が札幌に行っても?

それは……。


「確かに寂しくはなると思う!
だけど会えない距離じゃないし…っ」

『……そっか。強いね、Aは』


小さく笑う涼の声はとても寂しそうだった。



……もしかしたら涼を傷付けてしまったのかもしれない。

電話を切ってからも、最後の涼の寂しそうな声が耳に残ってもやもやした気持ちは晴れることがなくて。


はぁ…、とベッドに顔を埋めた。


どうしてこうなっちゃうのかな…。
私はただ、私なんかのために何かを諦めたりしてほしくなかっただけなんだけどな…。


枕を頭の上に乗せて悶々と考え込んでいると、部屋のドアが開いた。


「なにしてんのあんた。電話だよ」

美波だ。手には子機を持っている。

今、人と話す気分じゃなかったんだけどな…。


「誰?」

「聞いたけど忘れちゃった」


もう…。



「もしもし…」


きっと声はいつもの倍は低かった。

不機嫌に出た電話から



『あ……、俺だけど……』



川島の声が聞こえてきた。



不意打ちだった。
予定外だった。

昨日に続いて今日も電話がくるなんて、微塵も思っていなかった。




ぐわっと身体の奥から何かが湧き上がってくる感覚。


「え、なに?どうしたの?」


ストレートに発した私に、彼が息を飲んだのが分かった。



『あー…、今大丈夫?』

「大丈夫だけど…」

『昨日…携帯の番号聞くの忘れたから…』


あ、あぁ…。


「じゃ、言うね?」


私の番号は変わってない。

だけど私の携帯にはもう川島の番号は残っていない。
私が消したから。
前に進もうって。そう誓ったあの夜に自分で消したから…。



『ありがとう』

「いえいえ…」


だけど。

私の番号がまた川島の携帯に刻まれた時

川島が驚くことを言った。




『…あのさ。
今から行ってもいい…?』


「…はい?」



……今なんて?

どこに!?
何しにっ!?

 

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

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