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『まだ言う？僕Aの時は黙っててあげたのに……』
またいじける彼が愛しい。
「太っても腿だけだし格好いいし好きだし私テグナの太腿大好きだからいいじゃん」
『……それなら…いいけど……』
いいんだ？……可愛い……
「明日、マタハリの前帰ってくる？」
『あ〜……いや、そのまま行くと思う』
「そっか……」
ガッカリして意気消沈。
会いたいMAXだったのに……
溜め息は我慢して呑み込んだ。
「いつ帰ってくる？何時？」
がっつき過ぎ
って、言ってしまってから気付いて軽く赤面。
『……楽屋、来る？』
「え？…………いいの？」
『え！？いいの！？』
「え！？」
『え！？』
「え？何が？？」
『え！？いやだから楽屋……フッ』
可笑しな会話にテグナが先に吹き出して、
「ちょっとなに〜？も〜」
二人で笑った。
「誘っといて何その慌て様」
『いやだって、Aが来るって言ってくれると思ってなかったから』
「え〜、だって〜…………本当に行ってもいいの？迷惑じゃない？」
『大丈夫だよ！来て！公演中は特別席で見せてあげる！』
「特別席？そんなのあるの？私チケット取ってないよ？」
『チケットいらないから楽屋来てくれれば連れてってあげる！マネージャーにも劇場のスタッフにも言っとくから』
「分かった」
『ねぇ、本当に来てくれる？』
電話越しにも分かる。
何でそんなに嬉しそうなんだろう？
楽屋に行くだけなのに……。
そして、楽屋に行くだけなのに初めての事に少しずつ緊張してきてしまってるチキンの私。
でも、
「うん、だって凄く会いたくなっちゃったから」
そう。
会いたい。
こんなに衝動的な事してもいいのか、不安でもあるけど、それ以上に彼に会いたいから。
公私混同だなんて大人の言い訳を、勢いに任せて乗り越えてみようか。
『じゃあ作戦成功だ』
「え？作戦？」
『そう。Aが僕に会いたくなる作戦』
「あぁ、もっとテグナを好きになる作戦？」
『ぇ……なにその……っ』
「違う？」
『違わないけど………はぁ……悔しい』
「何で？」
『また一本取られた気がする』
あぁ〜
って声が洩れてる電話の向こう側。
今きっと手で顔を覆ってるでしょ？
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作者名：サラン | 作成日時：2017年7月4日 6時
