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65.藤の思い入れ ページ15

イルミネーションパークに着き、

 車のエンジンを止め、二人外へ出た。


 ゲートをくぐってパーク内に入ると、

 煌めく世界が目の前に広がった。

「わあ…!綺麗!」

 色とりどりのイルミネーションが夜空に散りばめられた

 星のように光り輝く。

 息を呑むような美しさに瞬きを忘れ、

 まるで夢の中にいるような不思議な感覚。

「美しいな!このように色とりどりの灯りを初めて見た!」

 杏寿郎さんは優しく微笑んで辺りをぐるっと見回した。

 揺れたマフラー

 楽しそうな表情

 その一瞬一瞬が私の心をくすぐる。


 思わず彼にスマートフォンのカメラを向けて

 シャッターを切った。


「ん?」

「あっ!勝手に撮ってごめんなさい!」

「いや!構わないぞ!」

 鼻を赤く染め、目を細めた彼に私は携帯の画面を見せた。

「綺麗に撮れました」

「君は写真を撮るのが上手だな!

 俺にも君を撮らせて欲しい!」

 はじめは恥ずかしいと思ったが、

 杏寿郎さんが楽しそうにしている、

 その姿を見て恥ずかしさは自然と消えた。


「Aさん!あちらもすごいぞ!行こう!」


 気持ちが高揚した杏寿郎さんは私の手を引いて

 足早に歩き始めた。


「わっ!」


 不意に握られた手に目を向けてしまえば、

 胸が苦しくなりそうで、

 私はただ彼の揺れる綺麗な髪を見ていた。


「これは藤の花のようだな!」


「本当だ!」


 それはまるで本物の藤のようで、

 あまりの綺麗さに藤を見上げて感嘆した。

 
「懐かしい」


 そうポツリと呟いた杏寿郎さんは少しだけ寂しそうだった。


「藤に思い入れが?」


「うむ。鬼は藤の花が嫌いでな。近寄ることができない。

 そのため、鬼殺隊本部には藤の花がたくさん咲いていた。

 鬼殺隊に入隊するための試験場である藤襲山には、

 鬼がいて、その周りを囲うように藤が咲いていたな」


「鬼殺隊にとってシンボルみたいなものなのですね」


「うむ!藤の花の毒を使って鬼殺する隊士もいた!」


「すごいですね!」

「その隊士も俺と同様に柱でな、体格は小さいが、

 その差を感じないほどの技術に長けていた」


 杏寿郎さん以外にも"鬼殺"をしていた人がいて、

 その人たちも彼と同じように命をかけて人々を守って

 いたんだ。


 藤の花言葉は、「優しさ」「歓迎」「決して離れない」

 「恋に酔う」「忠実な」と色々あるが、

 彼らはまさに"忠実な"人たちだったのだろう。

66.万華鏡の持ち主→←64.明かされる心



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2023年9月17日 0時

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