63.貴方みたい ページ13
杏寿郎さんと並んで座り、
スノードームのパーツを選ぶ。
クリスマス仕様のものが多く、ツリーやサンタさん、
スノーマンのパーツが人気のようだ。
どんなものを作ろうか、
様々なパーツを見て想像を膨らませていると
杏寿郎さんが私の肩をたたいた。
「Aさん!もしよかったらお互いに作って見ないか?」
それはつまり、私が杏寿郎さんの分を作って、
彼が私の分を作ってくれるということ?
「いいですよ。さらに思い出に残りそうです!」
「うむ!」
杏寿郎さんに作るスノードーム。
どんなパーツがいいかなあ。
クリスマスを感じられるものもいいけど、
イベントにとらわれずに飾れるものもいいよね。
様々なパーツを見ていると、
オシャレなキャンドルに火が灯ったパーツに目がとまった。
寒い冬の雪の中でも決して消えない温かな灯火。
人々の希望。
私は誘われるようにそのパーツを手に取った。
杏寿郎さんそのものだと思った。
キャンドルを中心に置き、
その周りに小さな木々と星を散りばめた。
「彼女さん、いい感じですね!」
「そうですか!?良かった」
「はい!このスノードームはライトで光るので
キャンドルがいい雰囲気になりそうですよ」
店員のお姉さんに言われた通り、
スノードームのスイッチを押してみると
優しい明かりがついて、キャンドルが光り輝き、
その周りを白い雪が舞っていた。
「綺麗…!」
「素敵にできましたね!」
「俺もできたぞ!」
杏寿郎さんは私の肩を軽く叩き、
「手を出して」とにっこり微笑んだ。
そっと手のひらを上にして彼に差し出すと、
優しい重さが手に伝わってきた。
手元に目を移すと、そこには赤い一輪の薔薇が
閉じ込められたスノードームがあった。
白く舞う雪の中、一際目を引く赤い花。
「わあ…素敵!」
「いつも、いつまでも君の心に」
「ありがとうございます!」
私は自分で作ったスノードームを手に取ると、
杏寿郎さんに渡した。
「これは私から」
「ありがとう!蝋燭か!綺麗だな!」
「杏寿郎さんみたいだなあって思って」
私がそういうと彼は首を傾げて微笑んだ。
その顔があまりにも優しくて、美しくて、
私は息をするのを忘れそうになる。
「俺みたい、か?」
114人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時:2023年9月17日 0時