検索窓
今日:2 hit、昨日:62 hit、合計:7,101 hit

61.ゆらめく瞳 ページ11

「杏寿郎さん、これどうですか?」

 私はマフラーを手に取って彼に見せた。


 家を出た後、私たちはデパートに来ていた。

 杏寿郎さんにクリスマスプレゼントを、と思い、

 紳士服売り場で彼に似合いそうなものを探している。


「うむ!いいな!

 Aさんが選んでくれたものなら何でも大歓迎だ!」


 にこにこと満面の笑みが眩しい。

 その笑顔は冬の氷をも溶かしてしまうほど

 温かい太陽のよう。

 彼は人を喜ばせる天才だと思う。


「ちゃんと杏寿郎さんの欲しいものを教えてください!」


「俺は君が選んでくれたものが欲しい!!」


 間髪を入れずに答えた彼はさらに「これがいい!」と

 言ってまっすぐに私を見つめた。
 

「気に入ってもらえたなら良かった」


 お会計を済ませて彼が待つ場所へ向かうと、

 何やらスマートフォンを見て考えている様子。


「どうかしました?」


「…ああ!何でもない!」


 私に声をかけられた杏寿郎さんは

 慌ててスマートフォンをしまった。


「杏寿郎さん、昨夜渡せずにすみません。

 クリスマスプレゼントです!メリークリスマス」


 私は彼の首にそっとマフラーを巻いた。

 一瞬驚いた彼はすぐに「ありがとう」と目を細めて笑った。


 その笑顔を見るたびに、

 息が止まりそうなほどに胸が苦しくなる。


 チラリと頭をよぎった"煉獄桃寿郎"くんの顔は

 やはり杏寿郎さんによく似ている。

 桃寿郎くんと話せば、何かが動き始めそうな

 そんな予感がしている。

 その鍵に触れてしまうには、まだ心の準備ができていない。

 今日が終わったら…必ず連絡を取ろう。

 


「Aさん?」


「…あ、はい?」


「どうした?」


 覗き込むその瞳はキャンドルに灯った灯火のように

 揺らめいて綺麗で、私は黙って見つめてしまった。


「…Aさん!!」


「…はい!」


 彼は私の手を引いて壁際へと追いやると、

 困ったように眉を下げて私の右耳に口を寄せた。


「…困る」


「何が…ですか?」


 杏寿郎さんは顔を赤くして

 似合わないほどの小さな声で呟いた。


「俺も男だぞ?そんな顔で見つめられたら

 どうかしてしまいそうなんだ…」


 そんな…!!


「ご、ごめんなさい!そんなつもりはなくて…!」


「分かっているとも!

 無意識に行っているからこそ俺の心臓に悪い!」


「ん…?えっ!?心臓に悪い!?

 それって怖がらせているってことですか?」

62.スノードーム→←60.朝ぼらけ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
114人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2023年9月17日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。