第177話 ページ31
noside
恵治と彼方が病室から退室し、部屋に残ったのは士門と天馬の二人だけ。
「それで.......何の用だ?」
「まあそう噛みつくな。例の約束を果たしに来てやっただけだ」
「約束?」
「試合前に言っただろ。お前が勝ったら俺と変態メガネ男が喋ってた話を教えてやるってな。あの時、俺たちが話していたの───」
「結構だ」
天馬の言葉を遮り、士門は自身が思っていたことを話す。
「あの試合....あんなもので俺が″勝った!″と喜ぶと思っているのか.....それにあの時、お前はまだ余力を残していた────────!!」
「!」
「纒神呪を使わずともお前は、あの逆境を打開する力があった。なのにあえて反則負けを選んだ.....違うか?いい加減.......下手な芝居はやめろっ......!お前、あの試合でどれだけ彼方を心配させたと思っている.....!」
「どう受け止めるかはてめぇの勝手だがな、それに彼方が心配していたのは俺じゃなくてお前だろうが.....」
あの時の彼方はいつも以上に取り乱し、様々な感情がごちゃ混ぜになっていた。それでも、士門の怪我の心配をしていた。勿論、そんなことをした天馬にも心配だと言う目線を向けていた。
「天馬、お前気づいているのにその違うと言うのをやめろ。彼方は俺の心配をしていたのは確かだが、同時にお前の心配もしていただろう。誰よりも彼方を見ているお前が、気づかないわけがないだろ!?」
「.........」
そんなこと、知っている。
そんな心を隠しながら、天馬は本題に移る。
「それよりてめぇには話を聞く権利が」
「そんな権利はいらん」
「いいから聞け」
「断る」
「聞け」
「断る」
「聞け!」
「断る!」
「とにかく黙って聞けっ!」
「くどい!!俺が勝つまでは聞く気はっ!」
「聞け。大事な話だ、頼む」
「天.....馬......?」
真面目な雰囲気と真っ直ぐな何かを決意した天馬に動揺しながらも、彼の次の言葉を待つ士門。
「彼方、お前に平手打ちをグーでお見舞いしてやるつもりだったみたいだぞ」
「...........予想はしてた」
「天馬を心配してやれなかったみたいだがな.....」
「てか、平手打ちじゃねぇよなあ!?それ」
「ああ、最早ただのパンチだ」←攻撃的な幼馴染をもつ
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れい(プロフ) - コメント失礼します。オリフラが立ったままになっているので、フラグ解除をお願いします。 (2021年8月19日 16時) (レス) id: d1cecbd3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年8月9日 23時