月姫の陰陽師肆 (ページ22)

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第167話ページ22

「そんな......馬鹿な、じゃあ....」

「そう。ケガレも陰の気も本来、現にあったのではない。全て一人の男の手によって創り出されたものなのじゃ......。知っておろう」

「？」

「ケガレに必ず刻まれる印......その名と由来を″ドーマン″。男の名は道満、蘆屋道満！！」

見えた光景にはケガレを生み出した蘆屋道満。
先ほど見た安部晴明。

そして、

「(！.....あの女の人......容姿が同じ......)」

見覚えのある容姿をした同じくらいの年の美しい女性。白髪と青い瞳の巫女服を着た女性が凛とした表情でケガレの王を見ていた。

「(何故.....？)」

「しかし道満が究極の陰の戦士を生み出す前に、安倍晴明は穢れの王と共に禍野の彼方へと消えていった。穢れの王は陽の力だけでも陰の力だけでもたおせない。二人の天才の間に密約があったのか。期せずして同じ真理に至ったのかは分からぬが」

千怒は紅緒をまっすぐと見て話す。

二人は穢れの王との決着を未来に託した。
これが双星の陰陽師(ろくろと紅緒)の悲劇の起こり。双星の陰陽師とは安倍晴明と蘆屋道満の二人によって創られた物語。陽の器の究極型《太陽》と陰の器の究極型《太陰》。

「そのふたつの命を以て産まれる陰陽の最終型、神子《太極》が穢れの王を祓うための物語(システム)」

「私とろくろの........命？」

「話を戻す。太陰は必ずこの蘆屋道満を血筋に持つ者の中から生まれる。そして、お前が「戦うための力」を取り戻す方法─────それは《太陰》としての完全な覚醒。─────しかし、己の中に眠るケガレの力を完全に喚び起こしてしまえば、お前はもう二度と″人間″には戻れぬ..........！！」

「何を......何を言って.....るの？じゃあ.......私のこれまでは........私.......には果たすべき約束.......が」

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「双星の陰陽師に選ばれて、紅緒に会えて良かったよ」

「私.......もずっと同じことを考えて.......いた」

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「......わ、私.......は何のため......生まれて.....きた......の」

自身のやってきた事、以前に生まれた意味すらわからなくなってしまった。紅緒の目の前は真っ暗に染まった。

　