第13話 十二鬼月と呼ばれる鬼�� ページ45
空は暗く夜の時間。
晴れた日に見る月、今日は曇りだったために月は、雲に隠れて見えない。光を遮り、月明かりが地面に届かない。風が吹いて、木々の葉っぱがカサカサと音をたてる。それを私は静かに聞いている。
街灯もない森の中に私は一人立つ。
『(やっぱり、任務がある日......鬼と対面する日は.....いつも緊張してしまう.....)』
今回の任務は、山に入った人が行方不明と言うもの。
男女、大人、子ども関係なく行方不明であり、年々旅をしている者や商人等が狙われていた。山の近くを訪れた顔も覚えられないうちに捕らえられたために発見が遅れた。鬼の仕業との確証を得たため、数人の隊士が現場に向かった。だかを、隊士は帰ってこず柱である私が行くことになった。........もう一つの可能性が出たからだ。
似たような案件があり、冬柱である私と花柱のカナエさんが行くことになった。
森の中に立つ、人間は私一人。
でも、視線の先には鬼が一人。
『冬の呼吸＿＿＿＿』
「稀血ィィ〜！！」
いや、いい加減人のこと稀血って呼ぶのをやめろ。
数年前に陽が登るまで鬼ごっこしてから、事あるごとに稀血、稀血、稀血.....と。最初は「ガキィ？鬼狩りか？」なのに斬られる直前は、「稀血」だよ？
稀血だけども、私の名前は稀血ではない。
毎回、そうツッコミながら刀を振るっている。今回の鬼も同じようなパターン。
『壱の型＿＿＿＿白世の淡雪』
ｽｩ.....
ことりと落ちた頭。
ボロボロと体は崩れていって、鬼は消えていく。
どうか来世では、幸せになれますように。
幸せになれる一歩をたどってください。
「！......ありがとうっ」
『いいえ』
私には、それぐらいしかかける言葉を持っていないから。
『十二鬼月かと思ったけど、違ったか.....』
消えてった鬼の目にはなかったが、もしこの鬼が「元」ではなかったら、″下弦″と印されていただろう。元々、下弦かもしれないという情報で、ここに柱の私が派遣された。
結果は、全然違った。
う〜ん、カナエさんの方が下弦だったかな？
「カァ〜カァ〜！カナエノ方が元下弦ダッタ！」
『そっか、カナエさんの方が下弦......』
でも、″元″なのか。
再び十二鬼月に戻るために、人間を食べてたってことだね。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年4月15日 14時
