【鬼滅の刃】そこで見つけた六花ノ景色 (ページ34)

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第10話　奇跡なんて早々起こらない② ページ34

『(くっそ、重い.....)』

最終選別残り、半刻。
大体12時間ともうちょっとで、最終選別を乗り切れるという頃に私は、自身よりも大きな身長の少年を引きずってる。.......もう一度言おう。少年を引きずっている。

え、なんで？って、そんなん私が知りたい。

『起きてくれないかなぁ、錆兎』

私が引きずっているのは、初日に優しくしてくれた狐のお面を着けていた少年の片方。将来イケメン間違いなし、声が前世で聴いた覚えのあった人である。

何故、彼を引きずっているのかと言うとそれは、今から少しだけ前。気絶していた彼を私が発見したからだ。だけど、発見したのが夜だったため、鬼に今襲われるのはまずいと思い、私の拠点に連れて行っている。

『(そう言えば、錆兎の狐のお面どこに行ったんだろ？)』

発見した時、錆兎のお面はなくなっていて、刀も折れてしまっていた。そのままは、まずいと思って刀を鞘に納めて持ってきたけど.....。

そんなにも頸の硬く、斬れない鬼がいたんかな？

どこかで強い気配を感じたから、そこには行かないように避けて来たけどその鬼と戦ったんだろうか？

──────────

「ん.....」

『あ、気がついた？』

寝床について、辺りを警戒しながら鬼を斬っていれば、声が聞こえた。振り返れば、錆兎が起きていて表情からは、今の状況がわかっていないようだった。

「咲々芽.....か.....？」

『うん、そうだよ。ここは私の寝床で、倒れてた錆兎をここまで連れて来たんだけど』

「倒れ.......っ....あの鬼はどうしたっ！！！？」

『お、鬼？』

焦ったように詰め寄ってくる錆兎に、驚きながら聞かれた事に首を傾げるしかなかった。私がいた時には鬼がいなかったからだ。

「すぐに斬りに行かなければっ！！」

『はい？？』

え、今なんて？
聞き間違いかな？

目の前の少年は、鬼を斬りに行くと言わなかった？

刀も折れてるし、考えられる可能性として、錆兎は負けかけた......刀が折られているからこれ以上は戦えないはずだ。なのに、斬りに行く？命を捨てに行くってこと？

『阿呆なの？』

「なっ.....！？」

思ったよりも低い声が出ていたと思う。
やけに響いた私の声は、ちゃんと目の前の取り乱しまくり冷静にいられない少年に届いたみたいだ。

　