第7話 え、呼吸の適性ないの？�� ページ27
「でもね、咲々芽ちゃんはできると思うの」
『【できる？何がですか.....？】』
呼吸の適性がないのにできるとは？
まあ、呼吸の適性があろうがなかろうが鬼狩りになんとしててでも入るために模索し始める一歩手前だった私。師匠が優しく微笑みながら私を見た。
「貴女は「灯りの舞」を元に自身の呼吸を生み出す事ができると.......私はそう思うの」
『【呼吸を生み出す.....？】』
「ええ、そうよ。「灯りの舞」は元々舞だということは話したわよね？」
『【はい】』
「その呼吸法は、始まりの呼吸の剣士の呼吸法を参考にしているの」
″始まりの剣士″？
気になる言葉が出たが話の腰を折っちゃうかな？と思ったので黙って聞くことにする。それを察したのか師匠が「始まりの剣士は全ての呼吸の元となった人です」と説明してくれた。
「けれど、彼女には呼吸の才能がなかった。そのため、彼女は願いを込めた舞を作ったの。舞には呼吸であって、呼吸ではないもので舞っていた」
『(「灯りの舞」を作った人は女の人なんだ.....)』
「舞は代々継承されるが、舞の継承ができるのは呼吸の適性がないものだけ。私もそうなの。だから、「灯りの舞」を舞えるようになった」
『【.......その、師匠は私が全集中の呼吸ができていると】』
「ええ、言ったわ。」
『【でも、それなら私は全集中の呼吸ができていないって事になりますよね？】』
「灯りの舞」の呼吸法ができるのだ。
全集中の呼吸はできないのでは？
「最初は「灯りの舞」の呼吸だったの。.......修行をしていくうちに「灯りの舞」とは似て非なる呼吸を貴女はしていた。まだ名前がついていないだけでそれは何かの呼吸なのよ」
『【名前.....】』
「咲々芽ちゃんは、これから自身の呼吸を生み出して、鬼を斬るための型を編み出さないといけないわ」
『【型....？】』
「水の呼吸も雷の呼吸も花の呼吸だって、それぞれ型があるの。咲々芽ちゃんは零からになってしまうけど、きっと生み出せる」
師匠の瞳には大きな確信と光が宿っているように見えた。私なら、自分だけの呼吸を流派を生み出せると信じてもらっているように思えた。
その期待に応えないと。
『【師匠！】』
「うん」
『【これからもご指導お願いします！】』
私の言葉に師匠は花のように微笑んだ。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年4月15日 14時
