【鬼滅の刃】そこで見つけた六花ノ景色 (ページ2)

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第0話　永遠の眠りの数分前① ページ2

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「じゃあ、また明日」

『うん、課題提出忘れないでよね？』

「わかってるってー！」

疑いの目を向ければ、友人は笑って教室を出て帰って行った。ホントにやるのかな？と心配になりながら、明日の朝に課題を見せてと言われるような気がした。

高校二年生の秋。
私は通学路を歩いていた。

『(帰りは、本屋に寄ってかないと.....)』

姉に頼まれていた漫画の新刊が出たとか言っていた。
朝、姉(二十六歳)が自身の財布の中から野口英世を一枚抜いて、朝食を食べ終えた私に渡して来た。今日の仕事は忙しくて夜遅くになってしまうから買って来いと姉に言われ、頷いた私は野口英世(千円札)を財布の中にしまった。

『鬼滅の、刃.....だっけ？買って帰る本』

今、アニメも映画も人気な漫画「鬼滅の刃」。
主人公は心優しい少年で鬼になってしまった妹を人間に戻す為に鬼殺隊に入って鬼の首領を探す話。友人達もハマってて、姉も勿論ハマってる。私はまだ読んでないが姉や友人達におすすめされているので期末テストが終わったら読もうと思ってる。

横断歩道前、信号機の色は赤。
脚を止め信号が青になるのを待っている。ピカッと信号の色が赤から青に変わり、足を一歩前へと踏み出した。

キィィィィィ!!!

『え.....？』

大きい音と誰かの「危ない！！！」と悲鳴に似た声がした。何故か私の足元が明るく照らされているのに気がついて、視線を向ければこっちに向かってくる一台のトラック。反射的に動こうと脳は判断したが、体は動けなかった。

ﾄﾞﾝｯ。

『(あ......)』

鈍い音がして、体に衝撃が加わり痛いと思うよりもすぐに私の見ていた景色が変わった事に驚いた。周りが騒がしく、音は聞こえなる。視界の端に赤くなってる地面が見えた。血溜まりが出来て、横目でそれを見ていれば段々と広がっていく。

『(........私、死ぬのか、な.....)』

それになんだか眠い。この眠気はダメだろうなと気づいているのに襲ってきた眠気に抗える気がしない。このまま眠ったら私は間違いなく永眠だろう。

『(野口英世......使ってない.....)』

死ぬ間際だからかないろんな事を思い出しては、段々と瞼が重くなるのを感じる。視界はぼやけ、最後に目に映ったのは雪の日の曇り空。ついてないなぁと思いながら目を閉じた。

　