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自室まで走って潜った白いシーツの中。
勢いで乱れたが、そんな事は気にせず気持ちを落ち着かせようと目を閉じた。
神「…A」
聞こえた声と労わる様に撫でられた髪。
心地良いけど、今は不愉快で音を立てて払った。
神「言っとくけど」
髪「起こさなかったンじゃないよ」
神「Aが起きなかったンだ」
八つ当たりだとは分かってはいるけど、どうしても自分を庇う思考になってしまうので、声を出すのを躊躇ってしまう。
神「しょうがない奴だなァ。…」
そんなAを見かねて、神威は良くも悪くも抵抗しないAを軽々と抱き上げて自分の膝の上に座らせた。
もはや、どちらが年上か分からない光景だ。
神「ねェ、」
神「何で晋助の着物着てるの?」
貴「…コレしかなかった」
神「ふーん」
「興味が無いなら聞くな」。口には出さなかったが、少しピリついた空気が流れ始めた。
神威は打って変って何を離すわけでもなく、ただAの抱きしめる。
猩「…お取り込み中悪ィが」
猩「神威。席外してくれ」
そんな沈黙を破ったのは、先ほどとは打って変って冷静沈着な声色の猩覚だった。
だが、その落ち着いた声でも今のAにも耐え難いものがあり、瞬時に目を逸らして神威にしがみ付く。
神「往生際が悪いよ。A」
神威は引き止める手をゆっくり剥がし、ベットを降りた。
貴「神威っ…」
神「悪いけど」
神「俺も阿伏兎に怒られたくないからさ」
Aの引きとめも空しく、神威は自室へと戻って行った。
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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時