Rollin'【番外編8】

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Side BLACK



楽屋の扉を開ける。

「はよーございまーす」

俺がそう言うと、もう皆そこにいて、こちらを一斉に振り向く。



「ぁ、おはようございます。えっと…」

やたら他人行儀な樹が、台本を暫く探して、やっと見つけた。

俺はいつもどおりに荷物を置き、椅子に座ろうと机に手を着いた。


「あ、あの、確認だったら…俺が行きますので」

「えっ？なに？」

「なにって…流れの確認…ですよね？
すみません。えっと…新しい方ですか？」


台本をパラパラしながら言ってくる樹。
皆も不思議そうに、こちらの様子をうかがっている。


いや、不思議なのはこっちだわ。

「なに？ドッキリ？(笑)
だとしたら、わかりやすすぎんだろ
もっとリアリティあることやれよ」

俺が笑っても、みんなは笑わなかった。
むしろ、怪訝な顔で、こちらを見てきた。


とりあえず、このデケェ男たち。
結構怖いから…座ろうとしたのをなんとなく躊躇ってしまって、あたりを見回す。

カメラらしきものは見当たらない。


机に置かれているはずのお弁当やお茶、台本までもが全て5つしかない。



「なんだよ。カメラ、どこにあんの」

笑えなくなってきて、ちょっとキレ口調になってしまう。




「あの……すみません。どなたですか」

慎太郎がそう見上げてきた。


「はぁ？まだ言ってんの」

「いや、あの、そっくりそのまま返しますけど。」


大真面目な顔で高地までもそう言う。




するとマネージャーさんが、中に入ってきた。

「皆、そろそろ打ち合わせ……
って、あ、あの……なにか？」

お取り込み中とでも思ったのだろうか。

「あの、ここのスタッフさんじゃ…ない、ですよね」

マネージャーが超不審人物を見るように睨んできた。



「……ねぇ、もういいって。俺だよ俺っ」

ここまで来るともう面白くもなんともないだろって感じなのに。

「いやどなたですか…？名前は？」

「はぁー？もう…松村北斗！
…そこに名前が載ってるだろ」

樹の持つ台本を捲る。
めくれどもめくれども、俺の名前はない。

「……FiveTONES……？」

目を疑った。
さすがにこれはちょっとキツイ。




“また6人でやらせてください”

“いいよ、じゃあ…
Youたち、今日からSixTONESね”





“6人だからシックス……”

“ジェシー、まず名前だけピシッと言って”

“シックスTONES”






「……ねぇ、ほんとに……覚えてないの？
俺だよ…北斗だよ！…なんで、なんで皆俺のこと分かんないのっ！？」

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