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Side BLACK
「飛べるさ どこまでもいこう♪」
当時よりいくらか大人っぽくアレンジされた黄色い衣装。
SixTONESになってからは、ほとんどが黒の衣装であって、
最近、黄色とは無縁に過ごしてきたなと十数年の時を想った。
「…っ、」
泣いちゃダメだ。
そんな思いが支配していた。
今まで沢山してきた悔しい思いは全て高地と二人で共有してきた。
悔しいとすら思う資格がないほどに、この仕事が好きで浮かれていたからなのかもしれない。
ここまでの、仲間たちのさまざまな“人事異動”が頭の中によぎった。
自分だけでもかなり振り回されたし、それで辞めていったジュニアも沢山いる。
今、デビューを目指して奮闘しているジュニアだっている。
俺は、高地にトラウマを感じていた。そんな感情を思い出してしまうと、もうダメだった。
「はぁ、はぁはぁ、っ、 ヒューっ ゲホゲホっ」
本番が終わり、裏にはけると、がくん、と座り込んでしまった。
“どうでしたか?”なんて河合くんと廉の質問によく答えられたもんだ。
記憶、ほとんどないけど。
「っ、北斗、大丈夫?」
隣を歩いていた中島健人。驚いたような声を上げる。
目なんて合わせられたもんじゃないけど、なんとかコクコク頷いた。
リハの時も過呼吸になりかけたけど、トイレに駆け込んで一人で対処した。
「へい、き」
「おーい、樹〜!北斗助けてやって〜!」
廊下に向かって叫ぶ菊池風磨。
そこに高地もいるんだけど、何かを感じ取ってくれたのかもしれない。
そう思うと、余計に涙が耐えられなくなって、呼吸も苦しくて苦しくて仕方なくなる。
「はぁ、はぁっ、…はぁ、 ヒュー、ごめ、だいじょぶ。ありがとうございました」
それでも俺はなるべく笑って、“ふまけん”に敢えて敬語でお礼を言って、立ち上がった。
スタッフさんや樹に支えられて楽屋に戻る。
高地の顔は見る余裕がなかった。
俺のことを支えている樹は時折、後ろを振り返りながら歩いていた。
苦しいのも相まって、涙が止まらないまま、皆にされるがまま横たわり、
衣装脱がされたり、吸入されたり、水呑まされたり。
「眠くなってきた?疲れたなら、寝ちゃいな?」
少しして落ち着いて、ジェシーの甘い声に意識を手放しそうになったその時。
「…こーち…泣いてるの?」
京本の声がした。
うっすらと目を開けると。
「…なんでもねぇよ」
そうやって顔を背ける高地。声が震えていて、目も真っ赤だ。思わず、起き上がった。
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H.M. - あーちゃんさん» ありがとうございます。年齢設定がしてあるようで表示されませんでした。【夢の中で】は読めないようなので【Rollin'シリーズ】のほうを楽しみにしていたいと思います。お手数おかけいたしました。 (2020年3月3日 11時) (レス) id: 419573d787 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - H.M.さん» 拍子ではなく、表示でした。失礼しました。よろしくお願いします。 (2020年3月3日 9時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - H.M.さん» ←「あーちゃん」を開いて頂くと、私の作者ページに飛ぶと思います。そちらで拍子できない場合は、18歳以上の年齢設定をしてないと思われます。申し訳ございませんが、これ以上のお答えは出来かねますので、ご容赦ください。ありがとうございます。 (2020年3月3日 9時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
H.M. - 【夢の中で】をどうすれば読めるでしょうか?よくわからなくて… (2020年3月3日 8時) (レス) id: 419573d787 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - y_さん» いつもご愛読、コメントありがとうございます( ; ; )またお楽しみいただけるよう頑張ります! (2020年3月2日 22時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーちゃん | 作成日時:2020年2月7日 16時