Rollin'【番外編10】

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Side BLUE



「どうでしたか」

「…特に何かは話してはくれなかった。
ちょっと状況をもう一回説明してくれない？」


久々に取り出した自分のコップにお茶をそそいで、だぁくんの前に座る。


「北斗さん、倒れたんです。
過呼吸で。最初は俺も喘息だと思ったんですけど…」

「…急に？何かきっかけがあったんじゃないの」

「僕もそのときチーフから電話があって近くにいなかったので、詳しく分からないですけど…
電話を終えて楽屋に戻ったら、1人で苦しんでて。
その時にはもう、顔も髪もぐちゃぐちゃだし、手も固まっちゃってるし、汗びっしょりかいて椅子から転げ落ちたような状態でした」


過呼吸を落ち着かせようとするのって、こっち側にも割と負担が大きい。
俺達メンバーがいない状況でそうなったのは初めてのことだし、対処に慣れてるだぁくんでも相当焦った様子。


「エレベーターでもなければ閉所でもない楽屋で…焦ったでしょ…ありがとね」

「いえ、…樹さんも忙しいのに呼んじゃってすみませんでした。」

「ううん。寧ろ良かったよ。
連絡もらったときは心臓が飛び出そうだったけど(笑)」


ただでさえ自分がいないときに倒れられたら心配なのに、その理由が過呼吸。
自律神経の副作用がある喘息の薬を飲んでいたわけでもないようだし、精神的な何かを抱えているのは間違いない。



「それで、スケジュールの調整は出来そう？」

「今日の撮影が途中で終わってしまったので何とも…」

「まぁ、俺らも全然会えてないような状態だしな」


あまりにも上半期忙しそうだった北斗は、黒田先生の助言もあり、少しの間、6人仕事以外はセーブしていた。

今日の撮影は北斗にとって久々の個人仕事。
…といっても、レギュラー番組の再現VTR。
朝ドラ俳優にとっては朝飯前だろう。

だけど、久々の個人仕事は俺達が想像する以上に北斗にとって負担だったのかもしれない。

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