Rollin'【番外編10】

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Side BLACK


「……カット！！！」


「……はぁ、………はぁっ、……っ、」


「北斗さん！？」




撮影開始から2週間。


弱い体が限界を迎えた。




「はぁっ、……はぁっ、ハァッ、ハァ
……だいじょぶ、……た、ただの、貧血…」


冷や汗が止まらなくなって、だぁくんに支えられながら楽屋に戻る。

ソーシャルディスタンス。なんて、言ってらんないけど、許して。黒田センセ、




「………うぅ、…はぁっ、ごめ、ちょ、…トイレ」



「えっ、気分悪いですか？吐く？袋有ります」



「いや、……はぁっ、トイレ、……」



だぁくんの出してくれた優しさを振り払って、楽屋までの間のお手洗いに入る。



「……うぅ、…はぁっ、あーっ、」



ずっとずっと目を瞑っていたお腹の痛み。

暫く唸って、痛みは変わらないけど、もう出るものがなくなった。


「……ほ、北斗さん？大丈夫です？」


「ぁ、……ぅん、…ちょっと待って」


普段は他人より広いであろうパーソナルスペースを保ってくれる奥ゆかしいだぁくんだが、
今日はさすがに心配をかけてしまったのか、
個室の前までやってきてくれたらしい。



「へっ、……？」

立ち上がり、サーッと血の気の下がる感覚。



ドサッ、と座り込む。

自動洗浄のそれは、赤い渦を巻いていた。




「あ、赤？」


「北斗さん！？北斗さん、大丈夫！？」



考える余裕もなく、ドアの鍵を開けたところで
俺の記憶は途絶えた。

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