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ケーキパーティ ページ30

あの青年大丈夫か?届いた紙に有力な情報が出ていない。
矢張り、パラレルワールドの入り口を探す以外に方法はないか。
唸る気持ちでいると、誰かがテーブルの上にスープを置く。置いたのは黒く豊かな長い髪に黒く大きな瞳をした理知的な若々しい男性だ。
彼の名前はグレーゴール。
俺がまだ幼い頃に森に出会った人だ。
グレーゴールは微笑み、ケーキを食べる。
「相変わらずNRCはRSAに負けてるね。このままじゃ記念すべき100年全敗になる。」
やれやれとグレーゴールは呆れたように言った。

グレーゴールは誰かに皿とフォークを持ってくるように言った。
誰かは「承知しました、グレーゴール様。」と言って塔へ向かう。

グレーゴールは先程のような明るい声では無く、静かな雰囲気の声で昔話をする。
「最初、貴方に会った時は驚いた。此処はそう簡単に入れる所ではないのにも関わらず、いつの間にか迷い込んで来た。
此処の主人としては驚きでいっぱいだよ。でも…貴方のおかげで私達は救われた。」
グレーゴールは俺の頬をそっと触れて顔を寄せる。
「A、もし永遠を生きられるならどうする?」

永遠…
不死身は聞く限りでは魅力的な話だが、必ずしも一番美しいとは思えない。
世の中には死を願う者も居る。
何もかもが変わり流れて行く一方で、自分は進化せずに延々と止まらない時間そのものになった気分になって、価値を感じなくなる。
答えはもう決まっていた。

「退屈になるでしょう。」と俺が言うとグレーゴールは何故かを聞いた。
「永遠なんてただ単に呆気なく終わるようになるだけです。二分の一は四分の二のような方が、経過した感じがあって良いではないですか。」

グレーゴールは「そう」と言ってケーキを一口した。
口調は何故か調子が良い。
皿とフォークが置かれた。
皿に切り分けたケーキを置いて俺に渡す。
一口するが、シャ○レーゼ並みに甘く舌に密度高く、いっそ暴力的な程に包まれた。つまり甘過ぎる。
出来るなら夏目漱石や森鴎外を呼んで食べさせたいまでの甘さだ。

だが、俺は下に弟妹がいない長男だ。「次男は我慢出来なかったけど、長男だから我慢出来た。」と某鬼狩りの発言は当てはまらない。
だが、俺は勧められた物はなんとしても全力で応えねば。
もう一つ口に運ぼうと手を動かして食べようとした時、魔法で手首を一気に引っ張られる。ケーキのクリームが顔に付き、ガシャと音を激しく立ててテーブルの上に乗せられ温もりに包まれる。

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設定タグ:転生 , 救済   
作品ジャンル:ファンタジー
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たろ。(プロフ) - パ、パ、パ、パパぁ!!!!! (2022年7月7日 15時) (レス) @page9 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柳玲霊鑑 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/be moon  
作成日時:2021年11月28日 19時

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